「…ごめんミク」

マスター?

何で謝るの?

「…おやすみ」

マスター…!

暗いよ、暗いよ!

そこ開けて!!

何も見えない狭く暗い空間。

ここから出してよ…!!

私はこの日、マスターに棄てられた。

真っ暗で何もない。

私、どこか悪いとこあったかな…?

精一杯マスターのために歌った。

音程も外さないように頑張った。

…でも、私はマスターに棄てられた。

私は機械だから、涙腺なんてない。

だから涙も出ないし、歌わせてくれるマスターもいないから話せない。

悲しい。

機械なのに何で感情なんて持っちゃったのだろう。

機械なら機械らしくマスターに従順に、自我なんて要らなかったのに。

なんて残酷なんだろう。

泣くことが出来ないその瞳。

嗚咽さえ漏れないその口。

何のためにあるのだろう。

何のために、作られたのだろう。

マスター。

本当に貴方は残酷だ。






































































「…ミク」

何年経ったかもわからない。

もしかしたらまだ数ヵ月かもしれない。

マスターが私を呼ぶ声がした。

マス、ター…?

話せない口が動く。

「…ごめんねミク」

突然光が射した。

マスター…

そこには昔の面影もないマスターの顔。

丸かった顔は痩せ細り、量の多かった髪も抜け落ちていた。

「ははっ、酷いだろ?」

自嘲気味に笑うマスターは痛々しくて、見ていられなかった。

「そんな顔しないでよ」

きっと泣きそうな顔をしているのだろう。

泣くことが出来ないのに。

「俺さ、もうそろそろ死ぬみたいなんだ」

私の頭が真っ白になる。

死ぬ…?

マスターが?

何で?

「俺ほら見ての通り病気なんだ」

また自嘲的に笑ったマスターは今にも泣きそうだ。

「病気のためとはいえ閉じ込めてごめん」

マスター笑って。

私マスターの泣き顔なんて見たくない。

いつもみたいに笑って。

「だから、ミクはどうしたい?俺と少しだけど一緒に居たいなら瞬き2回、他の人に引き取られたいなら3回」

私は迷わず瞬きをした。

2回。

「…ありがとう」

泣きながら笑うマスターに私は心が引き裂かれそうだった。
































































それから1ヵ月後、マスターは息を引き取った。

私は泣けない瞳を歪ませ、嗚咽が漏れることのない口でマスターと叫んだ。

マスターを失った私。

そこに1人の女の子が現れた。

「ねぇママ、これぼーかろいど…?」

「あら、本当ね」

「私貰っても良いかな…?」

「…でも探してる人がいるかもしれないし…」

「なら、見つかるまで預かる!!」

「…ちゃんと返すのよ?そして捨てちゃダメよ?」

「はーい!」

私は、新たな人に貰われた。

私の新たな人生が始まりだった。



──マスター、大好きでした。

───新しい私のマスター、よろしくね。

私は幸せです。

また、人のために歌えるのだから。

ありがとう、マスター。







fin.

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

優しさと哀しみ

ふはwww何やこれwwwwww
ギャグ目指したのにどうしてこうなったwww
しかもマスター死んじゃったよ!!
ようjy…げふんげふん、子供に拾われると道は2つかと。
1.おままごとに使われる
2.投げられる

病気ェ…
何の病気かはご想像にお任せしちゃいます←

閲覧数:253

投稿日:2012/01/04 16:01:57

文字数:1,379文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • 魔熊

    魔熊

    ご意見・ご感想

    感動する話じゃないか!!
    マスター酷いと思ったら、すごい優しかったし(T-T)
    ミクちゃん幸せになってね!!

    ままごと発言にツボったww

    2012/01/04 17:42:09

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