第三章   

昨夜はなんだか、嫌な夢を見ていた気がする。
朝とてつもない不快感で起きたのはきっと寝る前に来ていたdmのせいだろう。
起きてからもなかなかdmは見れずにいたが、一応謝っていたしな、なんて思いながら
私はぼーっとして過ごしていた。
何だか時間が過ぎていくのが早く感じる様で遅い時間を過ごす。
dmに振り回されるのも癪だと思い、重く感じていた腰を上げる事にした。
「そうだ、好きな事をしよう」そう気が切り替わるには遅くなってしまった時間から家事等をする。
私は早速家を掃除をし始め、少しばかりの休憩も取りつつ、「普段通り」の生活をし始めた。
どこかしら頭に残っているdmに気を取られない様に、色んな事をしてみた。
何処かへ出かける訳でもないのにメイクをし、着替えまでして私は私の心を満たして行った。
いつの間にかdmの存在すら忘れる程に楽しい時間だった様に今では思う。
時間はすっかり18時になろうとしていた頃、パートナーが帰宅する時間が迫っていた。
「もう少し、一人の時間を楽しみたかったな」なんて思いながらも、あっけなく一人の時間は終了する。
一人の時間を好む私だが、「独り」は好きになれなかった。
パートナーが帰宅してからも私が1階へと降りない限り、顔を合わせる事はない。
一緒に居る様で、居ない感覚。
私は孤独感を感じ、インスタを開く。
dmには「楽しい話をしよう」そんな事が送られきていた。
私は独りじゃないのかもしれない、思ってもいない考えにさせる様なそんな風に思える言葉だった。
「そうだね」そんな返事を返し、続く事のないであろうdmを閉じた。
私はパートナーとの長い時間を掛けて、人が信じられなくなっていた。
「人間不信」とはとてつもなくやっかいなもので、どんなに良い事をdmで言われようが
なかなか人を信じる事が出来なかった。
煙草に火を点け、考え事をする。
「人間不信、なかなかやっかいだな」なんて事を考えながら独りの空間で時間だけが過ぎて行く。
落ち着ける様な音楽を流し、私だけの空間で私だけの「時間」を過ごす。
気持ちの悪い「世界」に逃げ道を探しに私はインスタを開く。
不純ではない人は居ないのか、なんてくだらない事まで考え、インスタに目を通す。
時間はどんどんと深夜に入り、鳴りもしない携帯を見ていた。
また、今日も眠れないんだろうな、と思いながらインスタで話せそうな人を探す、そんな日々。
誰もいないんだ、と私は諦めメイクを落とし、風呂へと向う。
今日も誰とも話をしていないな、なんて私の生活では「当たり前」の日常に嫌気がさす。
風呂から上がり、髪を乾かしスキンケアをする、そんな日々にも飽き飽きだ。
パートナーはそろそろ寝る様だった。
温まった身体を冷やす様に雪の世界へと身を置く。
煙草を吸いながら夜空を見上げ、私はきっと孤独死するんだろうな、なんて考えが浮かぶ。
久しぶりに見上げる月や星がとても美しい夜空だった。
「まぁいいや」そんな風に自分を宥め、眠りに付くかな、と家へと入って行く。
冷え切った身体を温めよう、そう思い、いつも通りに白湯を入れて、
少しづつ温まった身体と共に、ベッドへと向かった。
今日は、眠れるのだろうか不安にも似た考えで目を閉じた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

月は嗤い、雨は鳴く

パートナーが居るのに居ない様な感覚に陥る日々。
主人公の嫌いなインスタへと目を通す。
誰とも話さない日常に嫌気がさす、そんな日々。

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投稿日:2024/03/11 00:39:07

文字数:1,363文字

カテゴリ:小説

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