ひかりがさして

手を引かれ 劇場を 出たのが分かった

泣いていたから

あらすじも 結末も 忘れてしまった 

機械の星は 結局どうなったのかな


光が差して 窓辺を見遣ると 飛行機雲が 校庭へ伸びた
眺めていたのは きっと私だけだった

会議の趣旨は いつしか泳いで 賢者を讃え 言葉が踊った
祝福に満ち 教室を照らし出す その西陽が目に染みる

輝くものが いつも遠くに 離れて見えるのは
私だけがきっと 主人公じゃなかったから

スクリーンの向こうで 繰り広げられる 映画の 観客席は
その役者たちで 既に埋まってしまっている


喧騒に浮かぶのは レイトショーの悪魔
声が匂いがと 囀っては
「人波に掻き消えて」 「本質が減るから」?
「夜中に観ようぜ」と 私を誘うのだ

胸を塞いで 輝きに耐えたら
夜を這いずり 唯一のシートへ
月を映して 暗幕が閉じれば
私だけのフィルムが ようやく回り始める


星を束ねた 大書蔵の鍵を
硬貨一つで 開けているけど
思い出すのは 幼い日の記憶
夢の終わりを 喝采の飛沫が染めた

美しい灯を 囲み踊った 宴の最中にも
砂に咲かせた マスゲームの1ページにも
きっと私はいない スクリーンに映る 空虚を観ているだけ

…だけどレイトショーには


…分からないでもないよ 世界の事もさ
似せられたものが何故 美しく見えたのかも
産まれたものと 創られたものの 違いも分からないまま
私も死んでゆくのだろう


わがまま言って 迷惑掛けたね
画面の前で 眠ってしまっていたんだ
僅かな救いに 足先を浸して
それで歩けるのも 難儀なもんだな

夜が明けても 惑星は変わらないのに
私だけ変われなんて 言ってくれるなよ どうか
映画/せかい は今も 私だけを待ってる

「強がりだと笑ってくれるか」
「レイトショーの悪魔」


大人になったら 君に会いにゆくよ
貸し切りのエンドロールが 終わる頃に
涙に濡れて 喋れなくなってるのを
指差して笑ってやろうと思ってる

笑って泣いた 二人きりの映画
それを観るのは 真夜中の私達
外付けの宇宙を 飲み干してもまだ乾く
いつか爆発してしまうよ
熱と光に皆が気付いたなら
私達の居場所も もう ないのかも

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

[レイトショーの悪魔] 歌詞

閲覧数:1,115

投稿日:2020/04/18 06:06:08

文字数:949文字

カテゴリ:歌詞

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