ある平凡な村にリンネとレノンという兄妹が住んでいた。
二人とも神を信じており、幼いころから、愛読書は聖書という仲のよい兄妹だった。

リンネは、お兄ちゃんとレノンを慕い、神を信じて国を救うために食糧危機になるというお告げを直訴した兄を誇りに思っていた。


だが、強欲な農民の長はレノンを良く思わなく、
彼を異端者として処刑することを決めた。


そして、ロザリオだけが、リンネの元には残る。

泣かないという約束を守って、リンネは強く生きた。

異端者の妹というレッテルを貼られ、決して楽な道のりではなかったが、
明るい性格から皆からリンネは愛され、幸せに生きていた。

ある日、国が襲われるとハクアからのお告げを聞き、
迷わずお兄ちゃんと同じ様に自分も国を救うために戦うことを決めた…。
そして、天使レントは時を同じくして、リンネの持つ兄の形見のロザリオに精霊として宿り、彼女と出会う。


姿が見えないにも関わらず、優しく、常に一緒にいて笑ってくれるリンネに、レントは愛という感情を抱く。
ロザリオの精と主の恋は許されないと知っていた彼は、
『リンネを必ず守る』という誓いにその想いを昇華させた。

その戦争の引き金は悪魔ガレッタによるもの……
神がミッシェルに変わり、いよいよ戦争が始まる。
しかし、リンネの努力による剣術とレントの持つ頭脳により国は戦火に包まれることなく平和に守られていた。

神を愛していた悪魔は、ミッシェルに寵愛される村娘に激しく嫉妬し…

後少しで国を守るための戦争が終わりそうなその時。


名声を得る彼女に、愛される彼女に、嫉妬していたカインとメルフェイユはガレッタに操られ……2人に裏切られたリンネは戦で敵国に囲まれる。


そして、リンネは魔女裁判にかけられ、
『私は魔女じゃない!!』
と周囲に訴えかけるが、国民も悪魔に操られているため、誰も信じてはくれない。

レノンは、その様子を見かねて、神にリンネを救うよう訴えるがミッシェルは首を縦に振らない。

『何故、助けてくれないのか…?』

そんな疑問がレノンとリンネには浮かぶ。


カインからは力による拷問。
メルフェイユからは自白剤による拷問を受け…。
心も身体も傷ついたリンネは力尽き、地下牢で倒れてしまう。

あまりにも酷すぎる拷問でさえ、泣かずに耐え、
『大丈夫だよ…』と言いながらロザリオを包み込んで倒れたリンネを
レントは泣きながら、抱きしめ、禁忌の術を使いリンネを癒やす。


禁忌の術は、主の傷を自分に移し替えるというもの――。


日を追うごとに、レントの力は弱くなり、
リンネは薄々ロザリオの異変に気づき始める。


そのため、リンネはロザリオを自分から遠ざけるようになり、
自分は無力なただの精霊とレントは涙しながら、神に強く祈った。


リンネを救ってください……


日に日にエスカレートする拷問。とうとう限界をを超えたリンネは
『兄の元へ…私もいざなって』と神に願った。
その時、兄のレノンが天使見習い最大の力、風を操る力で2人の拷問からリンネを救い出す。


『2人を助けるには歌を歌いなさい』


とお告げを聞いたリンネはガレッタに仕組まれたカインとの決闘でわざと攻撃を受け、カインがひるんだ隙に歌を奏でた。

歌を歌い終えたリンネは、心を取り戻した2人に微笑み、そのまま膝から崩れ落ちる。
傷だらけのリンネを見たカインとメルフェイユは、自分たちがどんなに酷いことをしてきたのかを知り、カインはリンネに暖かい毛布と食事を運び、メルフェイユは自分の持てる全ての治癒力で、リンネの心と身体を癒す。

翌日、自分がかけた呪縛までもを解く聖女リンネを妬んだガレッタは、リンネを直接傷つけた―

鎖につながれ、古井戸から水浸しで出てきた彼女を見たレノンとレントは激怒し、悪魔に襲いかかるが……
天使見習いと精霊が、一流の悪魔に勝てるわけもなく。

レノンの片羽を奪い、レントの宿るロザリオにはヒビを入れ、
レノンには、
『妹を救いたいなら聖気をすべてよこせ』
とだけ言い残し、去っていった。

傷ついた彼女を前にしながら、何も出来ない2人は、ただただ涙を流す。


『―聖気は天使の命―』

必死で思い留めるようにレントは話したが、
レノンはリンネを救えるなら本望だと……レントにリンネを託し、悪魔に身を売ることを決意した。

運命の日―
兄が笑っていなくなったのを見て、不審に思ったリンネは、
カインとメルフェイユに全ての理由を話し牢を脱出し、兄を追いかける。

兄が、無抵抗に悪魔に近付くのを見たリンネは、以前読んだ聖書に、
『悪魔は天使から聖気を奪い尽くせば、天使になれるが…
―聖気を奪われた天使は死んでしまう』
と書いてあるのを思い出し、
もう、あんな辛い思いはしたくないと、
リンネは、レノンの前に立ちはだかった。

『2度も死んだら駄目だよ……お兄ちゃん…』


リンネの持つ聖気に触れたガレッタは悪魔の羽を失い、
リンネもガレッタの持つ邪気に触れて倒れてしまう。

聖書の続きにはこう記してあった。

『儀式に失敗し羽を失った悪魔は、3日で消えてしまう―』

…どうすればいいのかしらと思いながら、リンネは夢の中へと―。

夢の中…
神ミッシェルがひたすらに苦悶しながら、考えている。

『あぁ…なんて私は無力な神…でも、あの子の力だったら、悪魔に汚された国民全員の心を浄化出来るかもしれない…!!でも、あの子は私の事を信じて頑張って国を守った聖女……罪もなく処刑されたレノンのようにあの子も犠牲にしたくない…!!』


全てを知り、自分の使命は大切な人々を守るためにあると思ったリンネはミッシェルに話しかけた。

『魔女となり、私が火刑にあった後の灰で国民の心を浄化します…。ただし…ミッシェル様…私の願い事を叶えてはもらえませんか?』

ミッシェルは驚き、涙を流し、リンネを抱きしめた。
そして、リンネの願い事を全て叶えると約束し、2人は別れた。


翌日、リンネは魔女裁判にて、

『私は魔女です』

と証言台で宣言し、処刑は2日後の夕刻となった。

リンネの養母であるマリアは、裁判後、リンネの頬を思いっきりひっぱたき『このっ!!!嘘つきが!!!』と怒鳴り散らした。
ただ、リンネはマリアと孤児院の仲間たちに迷惑をかけまいと、マリアを母さんと呼ばずに知らない他人のように接し、謝る言葉だけを述べて去った。
腕を引っ張った時に見えた傷跡とミッシェルから聞かされた全ての真実。マリアは、ただただリンネに謝りながら、
『もう一度母さんと呼んで…』と嘆き悲しんだ。

そして、悪魔は堕天使になり、兄と精霊の傷は完全に癒え、レノンとレントはリンネは全てを悟っていたのだと知る。

ならば………
レノンとレントも、強く決意したリンネを、せめて自らの手で天国へと導こうとある願い事をする。
ただ、レント個人の願い事はリンネの願い事と矛盾するから叶えられないとミッシェルは言ったが、レントはギリギリまで考えてほしいと懇願した。


―処刑前日―
リンネのもとにユーリがやってきて、
『お母さんから頼まれて、手紙を届けに来たの!』
と、手紙とともに入っていたのはリンネが20歳になったら渡すつもりだったと書かれていた白銀のロザリオ。

これを見て、リンネはユーリや孤児院のみんなを頼みますという文章を書くためにメルフェイユに便箋をもらい、手紙の最後に『お母さんありがとう…』と書いてユーリに笑顔で手渡した。


そして、処刑当日……
処刑場に運ばれる荷台の上で、リンネは『怖い…』と震え始めた。
『大丈夫だよ…リンネ?』と二人の少年はリンネに語りかける。

―待ってて…僕らが君を包み込むから…。

リンネは『ありがとう…』と言って、
ロザリオに口づけを施す。
これが最後の別れなら、せめて、伝えておきたかったの。

私は、貴方のことが…

『大好き…』

その後、孤児院にいるユーリに
『旅に出かけるから、しばらくこれを大事に預かっていて?』
と兄の形見のロザリオを預けた。
レントはぼろぼろと涙を零しながら、
何も言えないまま、去っていくリンネを見つめていた。

そして、夕刻。

ユーリはロザリオを身につけながら走っていた。
『お姉ちゃんの嘘つき!!!!!!』
向かったのは、村の広場。

『ミッシェルさまぁあぁあああぁあぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!』
そして、ユーリは目の前にいる、変わり果てた姉の姿を見た。

『お姉ちゃん…?リン姉ちゃんっ!!!!!!!』

鎖で板に繋がれ、足元から炎が上がる姉の姿を見て、ユーリは処刑場へと走り出したが、
マリアに止められてしまった。

『いやだっ!!!!離してよお母さん!!!!!!!』

***

苦しそうに息をしながら、何度もリンネは神の名を叫んだ。

早くこの苦しみから解放してほしい。辛い。一人ぼっちなんて嫌。
お兄ちゃんも辛かったよね…?
ほらっ…私を見て、ほとんどの人が笑ってる…。

こんな苦しい場所にレントを連れて来なくてよかった…。
こんな所にいたら、きっとすぐ泣き虫レントは泣いちゃうわね…。


でもね…せめて、大好きな貴方の象徴であるロザリオを見ていたい…!!!

『もっと…大きな十字架を……』

カインとメルフェイユは泣きながら、リンネにも見えるほど大きな十字架を、教会から運んで掲げた…。

彼女は聖女様なんじゃないか!?ざわめきだす民衆の声。
リンネは微笑みながら、十字架を見つめ…。
項垂れながら、最期にレント…と呟いた。

その瞬間。
一人の少年がリンネの身体を包み込む。


『何で一人で行っちゃうのさ?リンネ?』
『……まさか…レ…ント…なの?』

リンネの目の前にいたのは、銀色の光を放つ少年。
自分と瓜二つの顔、髪、背丈。

優しい瞳を持つ天使のような笑みを浮かべながら、幸せそうにリンネを抱きしめるレントを見てリンネは兄が死んでから初めて涙を流した。


『なんで!!!私は、ミッシェル様に頼んだのよ!!!!私がいなくなった後にレントをロザリオから解放してって!!!!!!!……ハァ…ハァ……こんな所にいたら燃えちゃうよ…?レント………』

『そんなことして、ボクが幸せだと思う?』

真顔でリンネを見つめるレント。
涙が止まらないリンネの頬を拭いながら、
レントは微笑み、一番伝えたかった言葉をリンネに告げた……。

『ボクらは二人でひとつなんでしょ?それに…』
『…それに……?』
『ボクも大好きだよ…リンネ……』

そう言って涙目で微笑むレント。
それを見てリンネは、
『泣き虫レントのくせに…。でも…今、私…幸せ…』

と言って微笑み、双子の聖者は……
炎に包まれた―

***

『やっと、触れることができたよ…リン……』
『お兄ちゃん…?』
『レノンさん天使になれたんですね…!』

大きな羽。月冠樹の冠をつけた天使は、優しくリンネを抱きしめ、ふわっとレントを撫でた。

『あぁ…。天国まではしばらく時間がかかるから、今はゆっくりおやすみ?リン…。レントもな。』


そして、微笑みながら抱き合って目をつぶる双子の聖者を、大きな羽で包み込み。
レノンは優しくそっと天国にいざなった。

***

ピシピシッ…

パリンッ!!!!!!!!!!!!!!






姉から預かった大切なロザリオも粉々に砕け、
大切なものを全て失った幼子の心は、
完全に壊れた。

『いやあぁぁあぁぁああぁあぁあっ!!!!!!!!!!!
 おねえちゃぁあぁんっ!!!!!!!!!!!』

ユーリの叫び声が広場に埋め尽くされ、
マリア、カイン、メルフェイユも涙が全く止まらず、
処刑場の足元に残されたのは、燃え残った黒く煤けた白銀のロザリオ。


そして、国全体に聖なる灰を含んだ雨が3日3晩降り注ぎ、
人々の心は浄化され、国民は皆、聖女リンネ=ミラージュフィリアと精霊レント=ロザリアータによって救われた。



―処刑場でずっと祈り続ける幼子を除いて―




(変更するかもしれませんが、今の所の概略です(^^;)
長いのに最後まで読んでくださってありがとうございました…(汗))

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

偽りの魔女とロザリオ~あらすじ~

動画にまでなる予定楽曲【偽りの魔女とロザリオ】と【ロザリオに秘められた想い】を小説化する前のあらすじです。

本当は、たくさん伏線を混ぜたかったのですが、
私 に は 無 理 で し た 。←

というより、曲の歌詞考え最中なんでまだまだ深くなるかも((でもそれは小説で!!

うーん。
文才ない私が書くとこうも駄目なようです。

小説書いてくれる担当の方に後はお任せしたいと思います…。

続編の方【復讐の…】の方もいろんな歌詞を増やしながら考えたいなぁなんて…思ってます^^

閲覧数:227

投稿日:2012/01/31 12:50:32

文字数:5,051文字

カテゴリ:小説

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