作品一覧
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十三枚目:
大した理由はない。
他人にとってはくだらない話だ。
もうそこは、俺の居場所じゃない。
本当に、ただそれだけだ。
息苦しかった。
教えというやつがわからなくなった。
あんたらにとって俺は、裏切り者でしかない。
教えを否定した罪人だ。
教えに背いた俺を責めるなら勝手にしろ。...名無しの手紙(十三枚目)
Kurosawa Satsuki
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十二枚目:
正義ってなんなんだろうな?
善悪ってなんなんだろうな?
結局さ、俺の勘は正しかったんだよ。
俺の代で終わらせるべきだった。
人が人に戻るには、もう手遅れだ。
クズだけがいい思いをし、
そのクズの為に罪なき奴らが犠牲になる。
馬鹿げた世界だ。
何千年間その繰り返し。...名無しの手紙(十二枚目)
Kurosawa Satsuki
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十一枚目:
「お前、大変だな。
生きるのを手伝ってやろうか?」
男への不満をSNSで呟いていると、
後ろから虚ろな目をした男に声をかけられた。
「願いを叶える訳では無い。
あくまで手伝うだけ。
お前の願いはお前が叶えてやれ。
他人に期待しすぎるな。
だから今みたいにある事ない事文句が出る」...名無しの手紙(十一枚目)
Kurosawa Satsuki
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十枚目:
貧しい家庭に生まれた少女。
父はお酒とタバコが唯一の娯楽で、
自分にだけ暴力を振るってくる。
母は、重度の快楽狂で、
借金返済の為に、自ら喜んで体を売る。
学校では、心身共に傷ができる程の虐めを受け、
教師に話しても笑われる始末。
お前が悪い、お前は恵まれているんだぞ、
世界にはな、お前以...名無しの手紙(十枚目)
Kurosawa Satsuki
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九枚目:
俺が不幸なのは俺のせい。
あんたが不幸なのも俺のせい。
じゃ、あんたの責任はどこにある?
苦しいか?
俺もだ。
宗教的価値観の押しつけも、国同士のいざこざも、
もううんざりだ。
苦労が美徳、自己犠牲は素敵な事だ。
そう言ったのはあんただろ?...名無しの手紙(九枚目)
Kurosawa Satsuki
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八枚目:
空っぽ、空っぽ。
空っぽ、空っぽ。
空気が苦く、どこかが痛い。
幸福なのに分からない。
綺麗なものが許せなくなる。
歪な支配に犯されてゆく。
許せるものも許せなくなる。
嫌いなものが増えてゆく。
壊れた頭が怖くなる。...名無しの手紙(八枚目)
Kurosawa Satsuki
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七枚目:
ネガティブを捨てろ。
言い訳するな。
目の前の事から逃げるな。
環境のせいにするな。
全ての不幸はお前のせい。
周りの不幸もお前のせい。
大人の癖に甘えるな。
何があっても不平不満を言うな。
生きてるだけで有難く思え。...名無しの手紙(七枚目)
Kurosawa Satsuki
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六枚目:
先日、愛する者を失った。
結婚して、二年目の事だった。
また昔と同じ日々が始まった。
いつも通りに寝起きし、
いつも通りに朝食を食べずに家を出る。
いつも通りに仕事をこなす。
いつも通りに帰宅したら、
帰りに買ってきたコンビニ弁当を食べ、
缶ビールを一本飲み干す。...名無しの手紙(六枚目)
Kurosawa Satsuki
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五枚目:
私は死んだ。
木製の椅子と一本の太い縄を用意して自分を殺したんだ。
勿論、自業自得だよ。
自分でしたことなんだから、後悔したって意味が無い。
でもね、私の葬式の時に見ちゃったんだ。
今まで虐めてきた同級生達が、私の名前を呼びながら泣いてるの。
正直私は、反吐が出た。
だってさ、泣いてるフリ...名無しの手紙(五枚目)
Kurosawa Satsuki
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四枚目:
小学生の頃、
ちょっとした事がきっかけで虐めにあった。
いかにも幼稚で古典的なやり方で受けたが、
最初の頃は我慢した。
給食に虫の死骸を入れられたりとか、
黒板に自分の悪口を書かれたりとか、
どの学校でもありそうなものばかりで、
こういうのは、無視が一番効果的だと、
強がって必死に耐えてい...名無しの手紙(四枚目)
Kurosawa Satsuki
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三枚目:
夫に愛想が尽きた。
子供もいるが、
これ以上一緒にいても意味が無いと思った。
バカバカしいとさえ思い始めた。
そもそも、あんな根暗を好きになってしまった事
自体が本当に馬鹿だった。
子供が生まれて六年が経った頃、
離婚届をテーブルに置いて家を出た。
やっぱり男は金に限る。...名無しの手紙(三枚目)
Kurosawa Satsuki
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二枚目:
大人になるという事。
それはつまり、責任が増えるという事。
人の愚かさ、汚さを知るという事。
守るものが増えれば増えるほど、
自分を殺せなくなるという事。
俺が三十歳の時、娘が生まれた。
名前を恵美と決めた。
娘が成長し、幼稚園を卒業する頃、
妻が他の男の元へ去った。...名無しの手紙(二枚目)
Kurosawa Satsuki
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一枚目:
私は、幸せについて考えた。
衣食住に困らず、平等に学ぶことができ、
友人、家族、恋人が居て、
暑ければクーラーを付け、寒ければ暖房で温まる。
与えられるだけ与えられている筈なのに、
それでも、死にゆくもの達がいる。
虐めや、家庭内での問題など理由は様々だが、
幸せだと自覚しながらも、苦しい...名無しの手紙(一枚目)
Kurosawa Satsuki
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がくぽの場合
マスター殿、今日も瞑想をしておるのか。
それならば拙者も隣に失礼するでござる。
だがマスター殿、毎日瞑想もいいが拙者とたまには……。
いや、邪魔したな。
グミの場合
今日もいい天気ですよ。雲一つなくてとても気持ちがいいですね。
ついついお昼寝したくなっちゃいます。
でも、毎日毎日お昼寝...マスターが死んだ……?(現実逃避(?)Ver.)2
漆黒の王子
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一限の古典。
予想通り当てられた詩だったが彩羽に課題を写させてもらったおかげで事なきを得た。
まあもちろん、授業後に「彩羽ありがとう!大好き!!」と抱きつかれたのは言うまでも無い。
彩羽「(詩は私限定の抱きつき魔か…?)」
心做しか少しゲッソリしている彩羽。
ちらりと時間割を見ると次は体育だった。
...【小説版】嘘塗れクラウン
衣泉
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リ「あのホテルすっごくよかったね。」
レ「あんなホテル泊まれることなんてほとんどないもんな。」
リ「でも、やっぱり家が一番私は好きだな。」
レ「俺も!」
リ「きっと、みんなリンがいなくて寂しがってるよね。」
レ「1日くらいリンがいなくても、寂しがってたりなんてしないよ。」
リ「そんなのわかんないじゃ...記憶の鏡のページ(RLバースデー当日)
漆黒の王子
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カ「みんな、今日集まってもらったのは他でも無い。明日のための準備をしてもらう。みんな、用意はいいか?」
メ「カイト、いつまで一人だけ座ってるのよ。もうみんな用意はじめてるわよ。」
カ「だって、昨日からこれ言おうって考えてたのに誰も集まってくれないんだもん。もう、一人でやっちゃおうと思って。」
ミ「メ...記憶の鏡のページ(RLバースデー準備)
漆黒の王子
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「私たち、別れようか」
散歩にでも行こうと誘われて、夜の公園のベンチにたどり着いた時に彼女は唐突にそう告げた。
「何がいけなかったんですかね」
「んー、特別嫌なことがあったわけではないけど、そろそろ限界かなって思ったんだよね」
「これ以上はいられないと、そういうことですか」
「まあ平たく言えばそう...【キヨリリ】まちがいさがし【キヨテル誕】
ゆるりー
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その記憶に確証が持てますか?
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目覚めたのは彼の部屋だった。確か彼と話していたら首元に何かを当てられて……、それで?
——“こんなところまで来るなんて、本当に馬鹿だな”——
最後に聞いた言葉を思い出す。そうだ、それで気を失ったんだ。
「起きたんだ」
声のかけられたほうを見る。カーテン...Memoria --『Symphony』--
ゆるりー
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クリスタル・メロディ
chapter1-2
ホテルの庭園はまるで絵画のように色とりどりの花に溢れていた。
池を彩る蓮の花々。ステージ上のダンサーのように並ぶ色鮮やかなタチアオイに、地上を照らすような向日葵の群れ。
ガラスの温室も、美しく咲く南国の花や植物が透けて見えて鮮やかな色彩を放つ宝石箱のよう。...クリスタル・メロディ 1-2
彩織