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それは、いよいよ夏も盛りを迎え、連日続く暑さが何となく気怠さを齎していた、とある朝の事……。
平穏で代わり映えのしない日常は、呼び鈴の音と共に破られる事となったのだ。
†††
「――…すいませーん! お届け物ですよ。七篠さん、いらっしゃいますか?」
軽やかに玄関の扉が叩かれ、その向こうから聞こえる声...【KAITOの種】種と叔母と夏の朝の宅配便【蒔いてみた】
akila_shiraha
いま冬だよな。設定的に冬ですよね?ね?・・・・・
暖かいな畜生ーッ!はははは、もうまるでハワイにいるようだぜ!
「なァ・・・マスター、俺ら暑いの苦手ってこと知ってやってんのか?」
低音。ただ、今の一言で眠気とかもう色々吹っ飛んだ。
え・・・?
なんて言って聞いてみたら暖かさが消えていない。この蒸し暑...KAITOの種(亜種)5
akahuku
馥郁たる甘い香りを振り撒く、黄金の果実。
土の痩せた防砂林の中、人の世話さえ受ける事も無く、それでも撓わに丸い実を結んだ、枇杷の木。
ピンポン球よりも小さな果実は、見た目こそ店に並ぶそれより劣るとしても。
枝から摘み取って口に運んでみれば、それは十分に甘く柔らかく瑞々しいと感じられる。
「……霙人、...【KAITOの種】種と枇杷とジャムの作り方【蒔いてみた】
akila_shiraha
†††
普段は閑静なばかりで、寂れかけた感のある街も、ただこの日ばかりは俄かに活気付いて見える。
ふわり、と。
開け放たれた窓から舞い込む風は、もう既に寒さを忘れて初夏へと移り行く季節の兆しと藤の香を微かに孕み、その温さが何となしに眠気を誘うが。
その一方では。
浮いた人々の騒めき、怒声にも似た掛け...【KAITOの種】種と祭と端午の節句【蒔いてみた】※修正版
akila_shiraha
†††
花の重みに耐え兼ねるかの如く、一際大きく枝を垂れた桜の下に、もともと置かれていた石のベンチも利用出来るようにして敷かれたシート。
座布団代わりに畳まれたタオルと、ぼんやり柔らかく手元を照らし出すランタン。
そして、シートの中央には既に蓋が開かれたクーラーボックス。
あくまでマイペースかつ合理...【KAITOの種】種と鏡音と夜桜宴会・後編【蒔いてみた】
akila_shiraha
くはー・・・あ、こんにちは。最近寒くなってきましたね。って・・誰に話してんだ俺ぇっ!?
う、テストではもち撃沈。がんばったのにな。くぅっー・・涙出てきた。気のせいだな、うん。
「HAHAHAHAHAHAHA!何泣いてンだ、マスター?」
ナツト・・か・・。本とだーぼんやり見える。
「情けない顔。」
グ...KAITOの種(亜種)4
akahuku
「今度のお休み、皆で動物園にでも行こうか」
マスターがそう言ってくれたのは、秋も深まったある日の事だった。
「どうぶつえん! わぁい、行くですー!」
「はしゃぎすぎないようにね。うっかりはぐれたら、おやつにされちゃうよ?」
小躍りしそうな勢いのサイトに釘を刺す。初めての遠出だし、『種KAITO』のサ...【KAos×KAITOful】Crossfade【予告】
藍流
「おおきいの、ずるいですっ」
眉を吊り上げて頭上に手をやるサイトを、私は慌てて制止した。
「それは駄目だよサイト、発砲禁止っ!」
「だってずるいですー!」
「ずるくないよ、マスターは俺のっ」
抗議の声に言い返すカイトが、きゅむっと私を抱き込んでしまう。だからカイト、こういう事してるからサイトも張り合...KAITOful☆days #19【KAITOの種】
藍流
セツ君とセイ君、そのマスターである柚香さんは、あれ以来時々遊びに来るようになった。
二回りほどサイズの差はあれど、サイトにとっては初めての『同じ目線』の存在だ。家中使って駆け回ったり、マスターが作ってくれた『公園』で遊んだりと楽しんでいる。
あちらのふたりにもそれは同じだったようで、賑やかにはしゃぎ...KAITOful☆days #18【KAITOの種】
藍流
柚香さんは『食べられる飛び道具』付きのサイトにひとしきり笑い、薄く浮いた涙を払った。
「種っ子はホント面白いなー。バリエーション凄いですよね」
「うんうん。でも柚香ちゃんには負けたなぁ。雪見とか、その発想はなかったわ。こう、カップから芽が出てるイメージができちゃってて」
感心しきりといった様子のマス...KAITOful☆days #17【KAITOの種】
藍流
突然の出会いから数日後、ふたりの種KAITOとマスターさんが訪ねてくる事になった。
あの後、最初のマスターの休日だから、双方よっぽど早く会いたかったんだろうな。
「お邪魔しまーす」
「いらっしゃいませ。迷いませんでしたか?」
チャイムの音に、迎えに出たのは俺だった。マスターだと初対面だから、玄関で挨...KAITOful☆days #16【KAITOの種】
藍流
「おおきいの、見るです。こんな ぺたんこの石ー」
ベンチに腰掛けた俺の足元で、サイトが自分の顔と変わらないほどの大きさの石を掲げて見せた。
受け取ってみると確かに薄く平たい。別に珍しいものでもないんだろうけど、こういうのって何となく楽しい。
「ほんとだ、面白いね。すべすべだし」
「もっと探すですー」...KAITOful☆days #15【KAITOの種】
藍流
ほんのちょっとの悪戯心と、冒険心。少しだけの冒険のつもりで、すぐに帰れるつもりで。
なのに今、見渡す景色はあまりに広く、見下ろす地上はあまりに遠く。家が何処なのか、自分が何処にいるのかすら分からず、樹上から降りる事も叶わない。
わくわくと浮き立った気分は残滓すら無く、サイトの胸を埋めるのは不安と恐怖...KAITOful☆days #14【KAITOの種】
藍流
8月も半ばを過ぎて、酷暑もようやく幾らか落ち着き始めた。日差しはまだまだ痛いが風は爽やかで、夕方には随分涼しい。
カイトはそうして過ごし易くなる頃を見計らい、バルコニーに出てハーブに水を遣る。サイトも花や植物が好きらしく、一緒にプランターを覗いたりしている。
もっともそれも、『おともだち』が来るまで...KAITOful☆days #13【KAITOの種】
藍流
それは、とある夏の日のこと。
「うわ、外 あっっっついね~」
「あつい……ですー……」
いつものように、お昼御飯を持ってきてくれたカイトとサイト。ふたりを迎えに外に出て、あまりの暑さに一瞬でウンザリしてしまった。館内は冷房が入ってるから、外がこんな灼熱地獄化してるとは知らなかったわ。
「また猛暑...KAITOful☆days #12【KAITOの種】
藍流
サイトを我が家に迎えて、一月余りが過ぎた。種KAITOは謎がいっぱい……というか、もう何でもアリの不思議生物のようで、驚かされる事ばかりだ。
まぁそもそも、種がアイスをまるっと吸収して小さいKAITOになる時点でファンタジィな存在だけど。しかもウチのサイトの場合、まさかの飛び道具付きだったしね。
そ...KAITOful☆days #11【KAITOの種】
藍流
マスターの出勤を見送ると、俺とサイトふたりでの留守番になる。最初は色々と揉めたりもしたけど、最近は随分そういう事は減った。俺もサイトも、要するに「マスターを独り占めしたい」のであって、相手のこと自体が嫌いってわけじゃないんだ。……多分。少なくとも、俺は。
午前中は掃除や雑事を済ませてしまうのが、俺の...KAITOful☆days #10【KAITOの種】
藍流
えっと、えっと……こんにちは、ですー。
さいと、「さいと」です。ますたーのおうちで生まれた「たねかいと」なのです。おうちには、ますたーと、おおきいのと、さいと と3人です。
さいとがますたーのおうちに来て、ちょっと経ったです。おともだちもできたですから、きょうは「さいとのいちにち」をごしょうかいなの...KAITOful☆days #09【KAITOの種】
藍流
第一部が終了したので『目次』を作ってみました。説明スペースに各話へのリンク有。
煽り文風に簡単な内容紹介も付けてみましたので、ご参考に(なるのか?)
「前のバージョン」でキャラ紹介もしてみようと思いますー。
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*『KAITOful☆days』目次*
・#01:「マスターの...KAITOful☆days 目次&紹介【KAITOの種】
藍流
ただいま、と声をかけて数拍。いつもなら調理中でも火を止めて迎えに出てきてくれるカイトが、今日は姿を見せなかった。中に上がりながら、ちょっと緊張する。
帰ってきてカイトのお迎えがないなんて、前代未聞の事態なのです。
リビングに入ると、ドアの脇でサイトがぐすぐすと泣いていた。
「ますたぁ~」
「ん、ただ...KAITOful☆days #08【KAITOの種】
藍流
出勤準備を整えてキッチンに行くと、カイトが笑顔で迎えてくれた。
「おはようございます、マスター。今朝はチーズオムレツですよ」
「おはようカイト。ありがと、良い匂い~」
部屋を満たす食卓の香り。オムレツとコーヒーと、何より焼きたてのパンがたまらない。ホームベーカリーで作る、カイトこだわりのお手製パンな...KAITOful☆days #07【KAITOの種】
藍流
マスターは、ずるいと思う。俺が何にも言わないのに、どうしてだかみんなお見通しで。
俺が嬉しくなることを当たり前みたいな顔でしてくれて、そのくせ、それが俺にとってどんなに嬉しい、特別なことかは知らないで。
あぁほら、今も。『手伝いの御礼』なんて、俺はただマスターといたかっただけ、俺のためにしたことで、...KAITOful☆days #06【KAITOの種】
藍流
(連れて)行くべきか、行かざるべきか。それが問題だ。
「買い物、どうしようか」
お昼御飯も食べ終え、カイトと食器を洗いながら、私はちょっと迷っていた。
昨夜生まれたばかりの種KAITO、いきなり外に連れて行っても大丈夫だろうか? バッグに隠れてもらって……うーん、大人しくしてられるかなぁ。
「どうし...KAITOful☆days #05【KAITOの種】
藍流
この前の反省をいかし、クーラー全開っ!
みんなの名前をとりあえず教えた後、PCの電源をオンにする。
そして、この前考えていないKAITOの「なにを教えたらいいか」という議題について考える。・・中二のオレには解らない。
さっぱりだ。・・・ヘッドホンつけて・・好きな歌に入る「メルト」を
聞く。くぅ~癒さ...KAITOの種3(亜種)
akahuku
種KAITOのいる生活、二日目。何はともあれ朝御飯!
チン、と軽い音を立てて、トーストが焼き上がった。香ばしい匂いのするパンにバターは軽く。その間にカイトが卵を焼いてくれる。朝はパン、目玉焼きはサニーサイドアップ派です。
「しーちゃんの分はどうしよう……種KAITOって普通のご飯食べるのかな」
「“...KAITOful☆days #04【KAITOの種】
藍流
とりあえず5人が仲がいいかを確認し、別の部屋に入れて
オレは、椅子に座って考える。
・・・何をすればいいんだァアアアァァァ!
と叫びたい。とても。でもジョウシキを考えて・・・だけど・・・
のループだった。その時、いつも以上の低音が部屋にこだました。
「やめろ。いますぐ離れろ!」
アレ、なんかオレ体温...KAITOの種(亜種)2
akahuku
我が家にやってきた、小さい可愛い種KAITO。
誕生数時間で大問題勃発。
「ますたーはぁ、かいとの! おおきいの、じゃまですー!」
「こっ……それはこっちの台詞です!」
うわぁ。どうしようかなこの騒ぎ。
「とりあえずもうちょい声落とそうかー。夜遅いんだからご近所迷惑だよー」
「だってマスター!」
「...KAITOful☆days #03【KAITOの種】
藍流
すったもんだの騒ぎの翌日、首尾良く目的のアイスを購入して帰宅。
『KAITOの種』を植えてみた……ところで、問題発生。
「これ入れとくのって冷蔵庫? 冷凍庫?」
発芽までは数時間かかるというから、出しっ放しは却下する。冷蔵庫でも溶けそうだなぁ。でも冷凍庫だと硬くなりすぎかなぁ。
「カイトだったらどっ...KAITOful☆days #02【KAITOの種】
藍流
※ WARNING! ※
■氷村様のお宅でいただいてきた『KAITOの種』(亜種)が出ます
■種じゃないKAITOもいますが、基本バカイト 時々 若干ヤンデレ風味ですのでご注意ください
■KAITO×マスター設定ですので苦手な方は閲覧を避けてくださるようお願い致します
■うっかりいろ...KAITOful☆days #01【KAITOの種】
藍流
マスター
あるコンビニの近くに住む学生。
やれば勉強も出来る噂があるが毎回補習に呼ばれる為デマと言われている。
ボーカロイドには無関係だったが
種たちといる事である程度知るようになった。好きなのはがくぽ。
チョコイト (チョコバナナ味から生まれた子)
一生懸命喋ろうとするけど上手くいかない子。
目が...KAITOの種 (亜種) 自己紹介
akahuku
うう、だりぃ・・・
昨日、補習の課題を夜遅くまでやってたのに・・
まさか朝六時に起こされるとは予想外だ。
というか冷凍庫がガタガタ五月蝿いから起こされたのだ。眠い。
も、もしや伝説の戦士G・・!?と覚悟を決めながら冷凍庫を開ける。
そこには。
ちっさい小人が。5人。あ、種KAITO!?・・。理解する...KAITOの種 (亜種) 1
akahuku
むむ、とオレは唸る。だって、無造作に置かれた種があるから。
しかも「KAITOの種」というシールが乱雑に張ってある。
近くに説明書があるが・・まぁ、面白半分でよんでおこう。
えー・・・1、アイスと冷蔵庫を用意してください。
アイスがねぇ・・買いに行こう。
ー10分後
種は5個だったから植えるようと予...KAITOの種 (亜種) 序章
akahuku
……えー、っと……18cmってことは、人間サイズにすると180cmくらいか?
それにしては42gって、軽すぎね?
お前さ、
「何でそんながりがりなんだ?」
マスター
「ちゃんと育ててほしかった」
……なんだそれ?
ネグレクトでもしたかのような物言いだな……。
つまりあれか、あれなのか?...KAITOの種を埋め込んでみた 6
愁音
†††
漆黒の夜空を背景に、ハラハラと仄白く桜の花びらが舞う。
羽織ったパーカーのフードに納まるエイトが身動いで、花びらを捕らえようとするように立ち上がり精一杯に身を乗り出しては、空に手を伸ばす。
「……きれい…」
ほぅっ、と小さく溜め息交じりに耳に届いた声は、まるで周囲の静寂に遠慮したように、秘や...【KAITOの種】種と鏡音と夜桜宴会・前編【蒔いてみた】
akila_shiraha
友人が体調不良で早退したらしい。身体が弱いわけではないはずだけど、早退するほど体調を崩すなど珍しい。
そう思っていた矢先、そいつから電話があった。それがまた妙な電話で、奴は一言も言わないまま電話を切った。
声が出せない程体調が悪いのだろうか。
助けを求めたかったのか何なのか、電話の意図を確かめるため...KAITOの種 番外編6(亜種注意)
霜降り五葉
†††
いつも外出の時には使っている鞄に、財布と鍵とケータイも放り込むと、フードの付いたジャケットを羽織ってフードの中にエイトを収まらせる。
肩に乗せるよりは安定するだろうし、抱えて運ぶよりも楽だ。
通い慣れた道を普段より時間をかけて歩く。
「ますたぁ。どこに、いくの…です…か?」
『……んー…』
...続々・KAITOの種を蒔いてみた
akila_shiraha
俺は優、バーをやっている。
バーは家から車で15分ほどのビルの中にあり「White Stripes」って名前だ。
いつも帰るのは朝、うちの種KAITO、「鴉」は起きて待ってる事が多かった。
「ただーいまぁー。」
気の抜けたような声に、俺の腰くらいまでしかない鴉が小走りで玄関へ出てきた。
「マスター、...【亜種注意】種KAITOと俺【ちょっと息抜き】
ミッチェル
ミックが生まれた日の夜、友人に連絡を入れた。
種KAITOが生まれた(?)事を伝える為だった。
翌日、友人は家に訪ねて来た、私の周りの友人が来訪の連絡を入れないのはデフォだった。
「よっ、連絡入れ忘れてワリ、急いで来たからさ~。」
そう言って爽やかに笑う彼は、優と云う。
本当に悪いと思っているんでし...【種KAITO】種KAITOと私 2【亜種に注意】
ミッチェル
ほぼ透明なマフラーや色素の薄いほのかに水色をした髪が、内側から紫に染まっていく。滲み出る紫の色はどんどんと濃くなっていき、あっという間に葡萄と同じ色になった。
コウがグレープアイスを食べたのだ。
今日は美鈴と黒ゴマKAITOが来ていて、お土産にと果物のアイスを持ってきてくれた。そのうちの一つ、グレー...KAITOの種32(亜種注意)
霜降り五葉
頭が重くて。痛くて。
息が苦しくて、辛い。
昨日から体調が悪かった。それは自覚している。それでも軽かったし、大丈夫だろうと思っていた。
朝も辛かったが、無理して活動していた。それが祟ったらしい。
会う人会う人皆に心配され、友人にはことごとく帰れと言われた。
体調も最悪だし、仕方なく帰ることにしたが、...KAITOの種31(亜種注意)
霜降り五葉