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第二回目の出撃。
その任務開始から既に十時間ほど経過したところだろうか。
そしてこのVTOLの操縦桿を握り締めて三時間が経つ。
自体は思わぬ方向に発展したものの、俺とタイトは任務を遂行することができた。
が、現在の状況が絶望的であることに変わりはない。
Piaシステムの作動により、日本...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十七話「着艦」
FOX2
目前に迫る絶望を打ち破るため、俺は親指のスイッチを押し込んだ。
その瞬間凄まじい振動が俺の腕を体後と揺るがし、前方で眩いマズルフラッシュが巻き起こった。
ミニガンから打ち出された弾丸がレーザーのように光線を連ね、ガンシップに吸い込まれていく。
俺はひたすらスイッチを押し続け、次の瞬間、光線...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十八話「一日の終わり」
FOX2
「おばあさんの家は、こっち…」
道案内をしながら歩いていくハクは、いつのまにか息切れをしていて、横で歩いているアリスも段々と心配になってくるほどだ。元々体力のあるほうではないのだろう、無駄な贅肉がないぶん、筋肉もないように見える。
「大丈夫?」
「大丈夫です…。あ、こっちです」
随分と歩いてきた...Fairy tale 15
リオン
ズキズキと頭が痛むのにも慣れてきた。三回目ともなれば、普通はそういうものなのかもしれないが。
辺りは双子のときよりもいくらか明るい森が見える、小さな家の横の茂みで、アリスは思い切り尻餅をついて、図らずして身を潜めるようにした。
「あれ、えっと…あの二人はどこだろう?」
大体過去に飛んだときのこ...Fairy tale 14
リオン
その眼光は、たとえ片目であろうと鋭利な刃物の如く鋭く俺を突き刺し、引き金に掛かった人差し指さえも動くことは叶わない。
俺はただ、目の前にいるアンドロイドがどのような行動に出るかを待つしかない。
だが、おおよその見当はついている。
彼の紫の瞳が示すものは、俺に対する憤怒。
彼が胸に抱く赤髪の...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十四話「諍いと和解」
FOX2
A)
そこらが好きで この街で過ごすか
ふと頭に浮かんだ それだけさ
だいぶここらも 廃れたけれども
この街への思いは 変わらんさ
B)
憧れに負けて 都会に行っても
お前の意思なら 反対などしないよ
もしも疲れたら 戻っておいで
お前の居場所は きれいにしとくからさ...[本音デル]この街あの頃[オリジナル]
へたれ羆
広大な鋼鉄の空間に独り取り残された俺は、一刻も早くここから抜け出そうと考えたのだが、たった今、ミクオから聞かされた重大な事実を少佐に報告しなければならないと思い、無線でセリカを呼びだした。
「セリカ。少佐と繋いでくれ。」
『はい。』
すると一度無線の反応が切れ、別の周波数に接続された。
『...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十七話「憤怒のキメラ」
FOX2
「何だお前は?!」
俺は目の前の人物に言った。
目の前には、黒い戦闘服を纏った人影が背を向けているのだ。
その背には対戦車ミサイルと思われる兵装を背負っている。
感情に身を任せ、赤き電撃を纏う黒い彼女と俺の間に、それは立ちはだかった。
一瞬シックスかと思ったが、明らかに背が小さい。
1...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十二話「あの人」
FOX2
翌日。
デルは会社勤めを終えると、急ぎ足でハクの病院へと来ていた。急いだとはいえ、もう時刻は夜の8時を回ってしまっている。
デルは今、ハクの病室の外まで来ていた。
「ハク?入るぞー?」
「うん。」
か細い返事が中から聞こえた。それを確認すると、デルは病室の扉を開けて中へと入った。
入ると、ハクは何や...三月の雪 2
†B†
「危ない、ハク、後ろッ」
「え――?」
赤い目に映る白の白い髪。その瞬間、ハクの目に恐怖が宿った。
「――っぶねぇッ」
二つの声が重なった。
ガンッと音が鳴って、影は下に落ちた。…三つの影が。
驚いて腰が抜けた様子のハクを助けつつ、アリスは影の正体を冷静に判断しようと、ハクの後ろから首を伸ば...Fairy tale 18
リオン
互いの背中が触れ合い、タイト背後を任せながら、俺は神経を知り巡らし奴の気配を探った。
重音テッドと名乗ったあの男は、俺達の前に姿を現したかと思うと異常な跳躍力で森の中に紛れ込んでしまった。
だが今のところ、奴がどのような攻撃手段を講じてくるのは不明だ。
「デル。俺はこの二人を安全な場所に退避...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十二話「キメラ」
FOX2
短くなり、ただの灰となった煙草の吸殻を携帯灰皿に入れ、俺は再び林を中を歩いた。
見上げれば目標地点である通信連は目の前。俺とシックス達がたった二人の人質をつれて脱出するリカバリーポイントだ。
あのヘリポートにたどり着けば、すぐさまシックスの操作するブラックホークが駆けつけ、俺を迎えに来てくれる...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十二話「強襲」
FOX2
全身に漆黒を纏う彼女の手には、その髪色と同じく、黒き輝きを放つコンバットナイフが握られている。
そして、その矛先は俺の髪色と同じ白銀の銃口に向けられている。
彼女は、俺を確実に敵と捉えている。
先の発言で、全てが決まったのだ。
「まて・・・・・・どういうつもりだ。俺を殺すつもりか。」
と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十一話「Fight for you」
FOX2
「さぁ、ここからが本番だ!」
その言葉と同時に突き出される、鋭利な刃。
だがそれはこの男の腕、重音テッドから繰り出されるグロテスクな触手だ。
「うおぁ!!」
その腕は思いのほか長く伸び、俺の鼻先で空を切る。
「どうした?お前からは仕掛けてこないのか?」
奴の顔に浮かぶ余裕の笑みが月明か...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十三話「ABANDON ALL HOPE」
FOX2
一瞬にして、鋼鉄の絶望が群れを成し、蒼天の空を覆い隠した。
俺達は、タイト達が乗るブラックホークごと完全に包囲されたのだ。
この絶望は、一体どこから?
「これで逃げられはせん。ゆっくりと話をしよう。」
奇妙なヘルメット越しでも、目の前に立つ男の余裕の表情が見て取れる。
「あなたが・・・・...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十七話「戦い」
FOX2
ミクが驚異的な力で群がる敵性アンドロイドを全て破壊しつくしたことを確認した博士が、ヘリを大きく揺るがせた。
「うお!」
シートなどに腰掛けていない俺はその衝撃で簡単にヘリの内部を転がる。
俺はどうにか座席に腰を下ろすと、ヘリの中を見回した。
ワラともう一人の部下、そして傷ついたタイトに寄り...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十六話「再び会えて」
FOX2
思えば今まで予想外のことが起こりすぎた。
施設に侵入するなり倉庫連が爆破され、倉庫連から技術研究連に逃げ込んだと思えば正体不明の味方、シックスに遭遇し、成り行きのまま敵部隊と死闘を繰り広げた。
ようやく地下一階にたどり着き、人質が捕らわれている電子演算室に向かおうとすれば失神した兵士達が累々と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十五話「予想と暗示」
FOX2
PM0:00
休憩時間。仕事を一段落したデルは大きなあくびをして椅子に深くもたれかかった。
デルのする仕事は主にパソコンを使うもので、一日中デルはパソコンの前に座ってカタカタとキーボードを叩いている。一日も座っていたら肩がこるんじゃないかと思われがちだが、それがもう慣れてしまっているデルにとっては、...三月の雪 5
†B†
ハクが集中治療室に運ばれてから、もう2時間は経っただろうか?
自分では病室でずっと待っているつもりだったのに、デルの足は無意識に集中治療室へと赴いていた。
大きい鉄の扉の上には、『使用中』というランプが点滅している。という事は、まだハクは治療を受けている最中なのだろう。
気を紛らわそうと、近くの自動...三月の雪 3
†B†
コンソールに視線を巡らせ、ボタンやスイッチ類に指を走らせる。
問題ない・・・・・・こういった航空機の操縦は熟知しているつもりだ。
油圧正常。エンジン異常なし。
飛べる。
コックピット内に、エンジンの躍動が響き始め、メインパネルのモニター類から正常に起動したことを告げる電子音が鳴り響いた。
...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十五話「覚悟」
FOX2
闇の中から響き渡った、禍々しい微笑み。
その笑い声を発した主は、まるで空気のように気配だけで木々中からこちらへ近づいてくるのが分かる。
俺とタイトは、寸分の油断なく銃口を気配の方向へ突きつけていた。
「ふふっ・・・・・・。」
木と木の合間から不気味な笑みが漏れ、そこから赤い髪をした男が、...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十一話「月夜語り」
FOX2
扉の先の通路では無数の銃口が俺と特殊部隊の男に照準を定めていた。
それを目の当たりにした瞬間、一切の思考が空白で塗りつぶされていた。
「敵だ!撃て!!」
次の瞬間、乾いた発砲音と共に数十発の弾丸が俺の鼻から数センチの空間を突き抜けていった。
俺と男は反射的に扉から身を引き、敵の掃射を回避し...SUCCESSORs OF JIHAD 第十六話「奇妙な会話」
FOX2
再びあの鉄の箱に揺られ早一分。
この技術研究連の最深部である地下二階に到達したことをエレベーターのベルが知らせた。
慎重にエレベーターから顔を出す。
そこは幅広い空間で、突き当りには大きな食堂が見られる。
レーダーを見るとここに勤務する者の居住区らしく幾つもの小部屋が並んでいる。
外見的...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十七話「通告」
FOX2
ここはどこだろうか。
見渡す限りでは、建物の屋上と見えても不思議ではない。
手すりの向こう側には、俺が泳いできた湖と、外界と絶縁しているかのように針葉樹林が聳え立っている。
この屋上には先程通過した潜水艇のドックの部屋にあったもの同じコンテナが数個、隅に寄せられている。
背後では、俺をここ...SUCCESSORs OF JIHAD 第十二話「状況」
FOX2
水面空軍基地。
何とも清潔な施設内だ。
皆と一緒にヘリポートから施設内に足を踏み入れた瞬間、そう思えた。
床は丁寧に磨かれ、清潔感のある白い壁はそれ自体に発光する装置が組み込まれているらしく、柔らかく目に優しい光を放っている。
俺が今まで過ごしてきた陸軍の研究施設は不潔ではなかったものの、...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十話「現状報告」
FOX2
突如として転がり込んだその報は、この場所そのものを凍てつかせた。
ここにいると、危ない?
何故?
「キク。どういうことなんだ?何が危ない?」
決して取り乱さぬ口調で、タイトが問いかける。
『てき・・・・・・敵がきてるの。たくさん・・・・・・たくさん。囲まれてるよ。』
彼女の声には、まる...SUCCESSOR’s OF JIHAD第四十八話「紅き巨月」
FOX2
鋼鉄の巨獣に乗り、一歩、また一歩と鋼鉄の大地を踏みしめる。
視線の先には、暗いトンネルから差し込む、太陽の光。
あの先へ、あの光の先へ抜ければ!
俺は端の躊躇いもなく前進し、鋼鉄の巨獣、ハデスと共に光の中へと飛び込んだ。
そして次の瞬間には、眼前には、広大なグラウンドが広がっていた。
...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十二話「THE・SORROW DUEL」
FOX2
ブリーフィングルームで俺達を出迎えたのは、海軍将校の制服を纏った、威厳のある顔をした初老の男性だった。
「ようこそ。我が雪峰へ。私は本艦の艦長である、壮河凪だ。諸君らとは、あの戦闘以来だな・・・・・・。」
そう言い、彼は俺達に向け敬礼した。
彼の襟を見ると、大佐の階級を示す三ツ星が輝いている...SUCCESSOR's OFJIHAD第五十八話「『す』から始まる言葉」
FOX2
今まで行動を共にしていたはずの二人が、突如として、俺に刃の矛先を向けていた。
「おい!どうしたんだ二人とも!」
呼びかけても二人から返事はなく、次の瞬間、俺はワラの放った大蛇の如き草日から身を翻していた。
「ミクオ!!どういうことだ!」
振り向くとミクオのいた場所に巨大な光の円が飛び去り...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十話「Indulge in TWO」
FOX2
火の手から逃げついた先は、殺風景な鉄の小部屋だった。
内部に続くと思われる巨大な自動扉がある。
そして目の前に立つ、黒尽くめの男。
謎の爆発によって襲い掛かってきた火の手から俺を助けてくれたのはいいのだが、なぜかこの男のことが不審に思えてならない。
漆黒の戦闘服にタクティカルベストを纏い、...SUCCESSORs OF JIHAD 第十五話「遭遇」
FOX2
ただ茫然と、俺は目の前のモニターに映し出された光景を眺めているだけだった。
そこには、レーザーの直撃を受け、黒煙を上げながら沈黙している、ソラの機体。
そして俺と同じく、茫然とこの光景を目の当たりにしながら沈黙を始めた、四機の戦闘機とそのパイロット。
誰もかもが、一言も声をあげず、ただ茫然と...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十三話「役立たず」
FOX2
扉を抜けた先には、蛍光灯で照らされた鉄の通路がある。
数メートル手前でT字に分かれており、どちらへ向かえばいいかは分からない。
それ以前に、俺の頭の中には先程施設内部に侵入するときに聞こえた航空機のエンジン音、そして、その直後に聞こえた爆発音らしき音が気にかかっている。
あれは一体なんだった...SUCCESSORs OF JIHAD 第十三話「バックアップ」
FOX2
体は無重力に包まれ、視界に蒼き地表が広がっていた。
ここは高度五万フィートの空。地球から、宇宙へと繋がる場所。
ミサイル型カプセル、ドローンの窓から周囲を見渡すと、そこには俺と同じくドローンに搭乗した仲間、そして、役五百発の空対地ミサイルだ。
これから、この仲間とミサイルと共に、的の重要施...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十二話「ハイテンション・ダイヴ」
FOX2
全てが停止した。
時間も。風も。ここにいる全ての者たちも。
キクが羅刹の如き奮迅ぶりでABLやテロリストのヘリを破壊した後、世界は、黄金色の月明かりに照らされた夜となった。
あれほど大地を焼き尽くし全てを飲み込んでいった炎は跡形もなく消え去り、ただ荒れ果てた無毛の地の上には、一人の少女が立ち...SUCCESSOR’s OF JIHAD第五十話「内なる何か」
FOX2
午後九時十分。
全ての装備を解きヘッドに身を深く沈めると、脱力感としか言いようのない感覚に襲われた。
今日という日に行った任務は、今まで体験したどの訓練よりも意外な出来事だった。
人質は死に、今となっては仲間であるミクやキクに襲われ、ヘリの大軍団を相手にした・・・・・・。
今までに、二十四...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十三話「眠れぬ夜」
FOX2
鋼鉄の咆哮。深紅の雷鳴。黒き銃声。
このコロシアムに耳を劈き天地を揺るがす轟音が響き渡った。
そして、網走智樹の乗るアシュラが、一瞬で眼前に映っていた。
「ッ!!」
装甲をパージする前とは桁違いのスピードを前に、俺はただレバーのトリガーを引くことしか出来なかった。
即座に40mmバルカン...SUCCESSOR's OF JIHAD第七十四話「最期の笑顔」
FOX2
ふと振り向くと、小部屋の扉が開け放たれ、そこには黒い人影が立っていた。
「動かないでよ!」
その人影は、まだ幼い少女の声で言った。
構わず俺は銃のライトで人影を照らすと、その人影が幾つかの光を反射した。
そこには前にも見た黒い戦闘服を着た何者かが、俺にアサルトライフルの銃口を突きつけている...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十四話「意志を持って」
FOX2
蒼い魔女が微笑んだ。彼女の手招きを目にした瞬間、そんな風に見えた。
四肢に装着した拳銃。流れる青い髪。妖艶な微笑み。
苦音シク・・・・・・。
数百の銃口を向けられようとも、そんな威風堂々たる姿を崩さない彼女の態度に、俺は一瞬、体を縛られたような感覚に陥った。
「デル!おい!!」
背後から...SUCCESSOR's OF JIHAD第六十三話「蒼い魔女」
FOX2
低く機械音を響かせながら、鉄の箱、エレベーターが下降する感触を俺は直に感じている。
微かな振動が足元から頭の先まで伝わっていくのが分かる。
だが、それ以外は何も感じない殺風景な鉄の箱だ。
俺はいいまでに起こったこと、そして作戦目標の確認のために、少佐の下へ無線を入れた。
「少佐。今技術研究...SUCCESSORs OF JIHAD 第十九話「疑心」
FOX2
空は今日も灰色だ
私がここに閉じ込められて半年がたった
気がついたときにはほとんどだれもいなくなった
「ハク姉」
しんと静まり返ったコンクリートの牢屋の中で、遠い血縁の彼女は言う
「ボクたちはいつここから出られるの?」
彼女の言葉はコンクリートに反響し、むなしく響く
「ハク」
黒々と穴が開いたかのよ...スクラップ
curoe@耶珠也(藤木)