タグ「亜種」のついた投稿作品一覧(174)
-
配膳を済ませテーブルに座っても、俺はまだあの件のことを考えていた。
興国核強制撤去作戦のことではない。まあ、それも重要ではあるが、
俺にはもっと気にかかることがあった。
社長との会話に出てきた、ミクのこれまでである。
俺はあのあと、話の内容を頭の中で整理した。
まず目的は分からないが、ミ...Sky of Black Angel 第三十四話「生きて帰れば」
-
司令の部屋に入ったのは初めてだ。
しかも、これほどまでに大勢の隊員が入室を許されることは滅多に無いだろう。
司令の座る机の前に整列しているのは、俺達ソード隊五人。タイト。そして、司令の隣に神田少佐。
どういう訳か、網走博士も、ここに呼び出されたらしい。
今からここにいる七人に、司令から重...Sky of Black Angel 第三十三話「最後にして最大」
-
興国の軍事力が、何者かによって見る見るうちに削ぎ落とされていく。
いや、誰かなんて想像はついてる。
なぜそうなったのかも。
経緯がどうあれ興国は国として形骸化を始めている。
もうあの国は長くない。
でも、あの国が消えたら、この基地はどうなるのだろうか。
あの国から差し向けられる領空侵犯...Sky of Black Angel 第三十二話「過去、そして、その後」
-
「・・・・・・よし。チェック終了。各ウィングに異常なし。」
「FAW-01クロウウィンド、FAW-Sブラックプレデター、FAW-427レッドラプター、FAW-13キラーファントム、FAW-44デスミラージュ・・・・・・油圧、電圧、動作、全て異常なし。」
「本日のウィング整備、終了。」
「はぁ...Sky of Black Angel 第三十一話「状況報告」
-
朝のミーティングの時間になっても、胸の中の「何か」は消えなかった。
深夜に行った任務、そして戦闘による疲労か?
いや、そんな単純なものではない。
俺は苛立っている。
そして、これまでに無い焦りを感じている。これが胸の中に留まって消えない。
俺と同じ状態の人間は、隣にいる、気野。
いや、...Sky of Black Angel 第三十話「加速する不安」
-
終わった。任務終了だ。
後はこの途方も無い高さの空、成層圏から降りるだけだ。
ストラトスフィアの姿が遠のいていく・・・・・・彼らは何所へと向かうのだろうか。
「ミク・・・還るぞ。」
「ああ・・・。」
俺はレバーを倒して機体の角度を下げた。
ミクは軽やかにウィングを翻した。
大空を自...Sky of Black Angel 第二十九話「紫の鎌」
-
エレベーターが上昇を開始する。
見上げれば暗黒の夜空、星は見えない。
俺の機体の隣にゲノムパイロットのX/F-50が三機、俺と同時に上昇を開始した。
その向こう側には、FA-2、ミクオだ。
エレベーターがカタパルトまで上昇し、機体の前輪をカタパルトが接続した。
「こちらソード1。カタパ...Sky of Black Angel 第二十八話「the stratosphere」
-
機体の各部チェック、全て完了した・・・・・・。
たとえパイロットでも、機体の点検は行う。整備員に任せるのはあくまで整備だ。
あと、二十数分程度でブリーフィングが始まる。今までは機体の点検を行っていた。
時間が余った俺は、例の強化人間の機体の前へと足を運んだ。
そして、それの目の前に立つ。
...Sky of Black Angel 第二十七話「全てが終わったあとに」
-
僕がメンテナンスを続けている間、彼は、一言も喋らなかった。
パソコンのモニターには、彼のマザーコンピューターと身体の情報が表示されていた。
一通り終わり、彼の背中から情報伝達用ケーブルを抜き取った。
「はい。終わったよ。とりあえず、コンピューターには異常はなし。バッテリーの容量も不凍液も十分...Sky of Black Angel 第二十六話「ゲノムパイロット」
-
朝、俺達を含む雪峰の全隊員がフライトデッキに集結していた。
隊員達は毎朝ここで徒手格闘訓練などをするらしく、俺達も参加することになった。勿論、ミクやタイト達も参加している。
「うわっ!」
そして今、隊員の一人を軽くあしらったところだ。
「さすが・・・・・・強いですね。」
「年季の違いさ。...Sky of Black Angel 第二十五話「つかの間の安息」
-
海は本当に静かだった。
ときどき、チャプン、と音を立てるだけ。わたし以外は誰もいない。
ゆらゆらと波が揺れるのが大きな月の光でよく見えた。
月・・・・・・。
この前にもこんな大きな月を、ひろきと一緒に見たっけ・・・・・・。
「今夜は月が大きく見えるよ」って・・・・・・。
あれから、...Sky of Black Angel 第二十四話「互いの想い」
-
燃料不足のために雪峰へ着艦した俺達ソード小隊と、シック小隊。
俺達九人は先ず艦長室へ通された。
「入りなさい。」
男の声が返ってきた。
「失礼します。」
ノックした右手でそのままドアノブを押した。
部屋の中に入ると、奥の机の椅子に座っていた初老の男性が立ち上がった。
「よく来...Sky of Black Angel 第二十三話「真偽」
-
この時点で、俺の頭の中に様々な疑問が渦巻いていた。
だが、どうやらゆっくり考えるのは生きて帰った後のようだ。
《こちら雪峰所属、ロンチ隊。配置についた!!AWACS、指示を請う。》
《こちら水面基地所属警戒管制機ゴッドアイだ。これより各味方航空機に指示を出す。既に百マイルのC-42エリアに...Sky of Black Angel 第二十二話「大空中戦」
-
格納庫内には頭上からの衝撃音とサイレンが響き渡っていた。
振動、爆発・・・・・・。今、俺達の頭上十数メートルのフライトデッキでミク達が戦っている。突然襲来した謎のアンドロイド部隊を相手に。
たが、俺達はこうして格納庫でじっとしている他無かった。
気野も朝美も、麻田すらも床に視線を落としている...Sky of Black Angel 第二十一話「謎の敵」
-
目の前に立ちはだかる黒い物体・・・・・・。
それは2本の恐竜のような足で直立し、水中潜航が可能な戦闘用アンドロイドだった。
水中潜航のための特異なフォルムに鱗のような光沢をもつ装甲に覆われたボディ。
その全長はざっと5メートル。まるで海洋生物、いや、西洋の伝説に登場しそうな、水に棲む怪物か。...Sky of Black Angel 第二十話「白い鉈」
-
『ブレード1、離陸を許可する。』
午前8時、射出滑走路から4機のF-15改が飛び立った。
これで水面基地から俺達を含めすべての飛行隊が空へ上がったということだ。これより各部隊はそれぞれ決められた空域で警戒任務に就く。空母「雪峰」の艦載機と共に。
◆◇◆◇◆◇
午前8時半、B-0...Sky of Black Angel 第十九話「艦隊防空任務」
-
夜中に突然あたしは目が覚めた。何でだろう。充電中のはずなのに。
周りを見ると、真っ暗て訳じゃなくてぼんやりものが見れた。そういえばこの部屋、夜になるとうっすら壁が光るようになってるんだっけ。
机の上の時計に目をやると午前3時だった。ああ、何でこんな時間に目が覚めなきゃいけないのさ。あたしのすぐ...Sky of Black Angel 第十八話「葛藤」
-
なぜだ? 俺はそう思い、足を止める。
なぜまたやってくるのか。どうして同じことを繰り返すのだろうか。あの国は。
一体、何が目的なのだろうか。
耳に聞こえるのはあのスクランブルを告げるサイレン。恐らく興国だ。
俺が通路で立ち尽くしていると、向こうからフライトスーツを着た隊員が全速力で疾走して...Sky of Black Angel 第十七話「赤い鎖」
-
――2020年・9月11日・土曜日・午前3時・水面基地正面ゲート前セキュリティーチェック――
「ふーう・・・・・・。おい。交替の時間だぜ。」
「あ、はい。お願いします。自分は一休みしますよ・・・。」
「どれ、今日の新聞はと・・・・・・クリプトンの新型ボーカロイド、アカイトにカイコか・・・相...Sky of Black Angel 第十六話「天使の翼」
-
飛行機のエンジン音が部屋に響いてきた。基地へ戻ってきたのだ。
一機、二機、三機、四機、そして五機……たぶんミクだろう。何かの任務だろうか。
僕はベッドに横になると灰色の鉄の天井を見上げた。 タイトとキクは基地の中を散歩してくると言って僕の部屋から出て行ってしまった。無理もない。
この基地は...Sky of Black Angel 第十五話「怠惰」
-
俺はソード隊の出撃を確認した後、総合指令室へ入った。そして自分の席へ座る。
任務へ就く部隊の指揮は大体AWACSの仕事。俺はそれに指示を下すいわば作戦指揮官だ。
こうしてそれぞれ目の前のモニターに向かっているオペレーターや、部屋の中央に投影されているこの基地の周囲の空域の情報を表示しているホロ...Sky of Black Angel 第十四話「情報収集」
-
スクランブル待機室に待機してから半日が経とうとしている。
正直、何もしないでこうして座っているだけなのは暇と言えば暇だ。
警戒態勢など敷かれていなければ、今頃いつもの上空警戒任務で空に漂っているか、訓練用シミュレーターをやっているかどちらかだろう。
しかしいざとなれば優先的にここに待機させら...Sky of BlackAngel 第十三話「ソード小隊」
-
(二時間前)
「お呼びでしょうか。世刻司令。」
「ええ。あなたにお話しておくことがあります。かなり重要なことです。ですが機密情報のため、声に出して話すのはやめましょう。いくらこの部屋が防音でも、一応ね。」
「では、筆談……ですか。」
「そんなものではありません。」
「では……。」
「あ...Sky of BlackAngel 第十二話「虚」
-
夜の静寂を基地の中に轟くサイレンが破った。それに叩き起こされた僕は反射的にベッドから飛び起き、タイトとキクもけたたましいサイレンの音に反応してスリープモードから目覚めた。
「博士!これは……。」
「ひろき、こわいよ……。」
「スクランブルだよ。基地のレーダーが敵を捉えたんだ! すぐに決められ...Sky of BlackAngel 第十一話「予期せぬ交戦」
-
珍しく、夕食の直後俺達はブリーフィングルームに集められた。
何でも、至急隊員達に伝えることがあるそうだ。
「隊長。」
「……何だ。」
「なーんか今日調子悪くねぇか。今日出撃できなかったのがそんなに悔しいか?」
「……違う。」
麻田が俺の心境を無視したような発言を連発してくれる。たのむか...Sky of BlackAngel 第十話「スクランブル」
-
「……という訳さ。」
話し終えるとたいとは席に背もたれた。
話はだいたいわかった。たいとたちはあの船で敵を倒したあと、私と一緒にヘリでそのまま基地に来て、そのまま仲間になるらしい。しかしまだ納得いかないことがある。
「あの、たいと?」
「なんだい。」
「なんで君達が水面基地にくるんだ?」
...Sky of BlackAngel 第九話「兵器?」
-
ヘリという乗り物の中は意外と広い。中には私とパイロットだけだ。足元を見ると、そこには黒く細長い鉄の箱がある。何が入っているかは分かる。これで敵を倒す。するとスピーカーからパイロットの声がした。
私はヘリの窓から海を見下ろした。司令の部屋のテレビで見た船が少しずつ近づいてきた。
◆◇◆◇◆◇...Sky of BlackAngel 第八話「黒い刀」
-
まだ深夜の時間。俺は恐ろしさの余りベッドから飛び起きていた。
頬を伝う冷たい感触を手で拭うと、顔面が汗で濡れているのがわかった。
「どうしたの?隊長。すごくうなされてたんだよ。」
「朝美……。」
暗闇で見えないが、俺のベッドの横に朝美がいるようだ。
「悪い夢でも見たの?」
「ああ……。...Sky of BlackAngel 第七話「予知夢」
-
ゆっくりとキャノピーが上がっていく。俺はヘルメットを脱ぐと顔の汗を拭った。
何か不吉な予感がする……体が緊張で張り詰めていた。あのような不可解な事件はこれまで起こったことがなかった。
タラップを使わずに機体から飛び降りると、足音が地下格納庫中に響いた。俺は格納庫の出口に向かって歩きだしながら、...Sky of BlackAngel 第六話「インストール」
-
「十二時方向、速度五百キロ、高度は一万フィート。同高度だな。もうすぐ目視で確認できる。各機減速。不明機を取り囲むぞ。」
ただ青いだけの空に一粒の小さな点が見え始めていた。おそらくあれが例の不明機だ。
「見えてきた。」
俺達はさらに距離をつめていく。次第に機体のカラーや形が明確に見えてくる...Sky of BlackAngel 第五話「不明機」
-
巨大な地下駐機場。この基地のあらゆる航空機が格納されている。離陸の際には、ここからエレベーターで地上のカタパルトを装備した射出滑走路に上げられ、最大四機発進できるようになっている。この水面基地にはこのような最新設備が数多く配備されている。この基地は言わば前線基地なのだから。
俺達はヘルメットを片...Sky of BlackAngel 第四話「凶の兆し」
-
二〇二〇年。今、日本は隣国の興国と一触即発の状態になりその上、強大な軍事大国となってしまった。
今から五年前、興国ではテロなどで内戦が絶えない状況だった。日本でもテロ行為が行われることがあった。それも、二年前には沈静化したように見えた。そして日本は、興国へ自衛隊の海外支援派遣を実行したのである。...Sky of BlackAngel 第三話「新人配属」
-
午後五時四十分。俺は部下と共にブリーフィングルームを出た。
先の空戦テストのデブリーフィング(帰還報告)だ。だが敗北のショックからテストから得られたデータにも目を通す気は無かったし、ただテストの感想を適当に述べただけだった。
俺の隣で肩を落として歩いている、麻田武哉中尉の表情は溢れ出る悔しさと...Sky of BlackAngel 第二話「それぞれの仲間
-
ゆっくりと上を見上げる。見上げた先には光が漏れている。
光は徐々に近づいてくる。エレベーターが作動音とアラームを轟かせ、私を暗い地下から明るい地上へと連れて行ってくれる。
やがてエレベーターはゆっくり止まる。そして、まっすぐ見つめた目線の先には、雲ひとつない青い空!
ああ、今すぐこの背中にあ...Sky of BlackAngel 第一話「テスト」