いのいちゆずきの投稿作品一覧
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【正当防衛】
何気ない一言に
泣いた 泣いた
何度も突き刺さる
棘を飲んだ
なにも言えないほどの
ショック あとで
何度も響いてくる
なぜと問うた
間違いだらけの人生で...正当防衛
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【密葬】
意味を象徴(かたど)った
言葉が胸を刺す
これ以上傷ついた
私に構わないで
朝日は簡単に
私を見放した
重たい陽光が
ベッドを潰した
優しい言葉を...密葬
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【木犀の花】
木犀の枝をひとつ
手折って水に浮かべた
午後3時の眼差し
夕焼けが迎えに来る
君はどこですか?
居場所をかき消して
君はどこですか?
喧騒が息絶えた
星屑が割れる音も...木犀の花
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【レイニーハート】
はあ どうすればいい?
わたしにはもう
温もりが残ってない
はあ こぼれた肺の
息の根を そっと
探ってもわかんない
「朝の雨は
午後には止むでしょう」...レイニーハート
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【カナリア】
いつもの散歩道
先を歩いてる君
跨線橋のてっぺん
止まって僕を待ってる
君は下を流れる
電車をみるのが好き
青空へと揺れる
長めの白いスカート
優しい時はいつも...カナリア
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【ノケモノウサギ】
あなたの伸ばした背が
わたしはとても好きでした
わたしの縮こまった
背中よりも好きでした
好き嫌いはいたしません
お肉だって食べましょう
嘔吐きながらむせながら
あなたと同じ食べ物を
懸命に近づいて...ノケモノウサギ
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【ハコニワ】
機械的な日常に
ため息枯れ果てた
前ならえ一同に
レーンに乗っかって
破壊的な衝動を
紙の箱に込めて
ひたすらにネジ打つ
穴あけパンチング
虫けらみたいな脳みそだから...ハコニワ
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【ビー玉プラネタリウム】
さび付いた窓
軋んだ鍵
レンズの向こう
差した陽が痛い
透明な壁
露を払う
指先が冷え
空が唸った
呆気ないほど青い...ビー玉プラネタリウム
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【排水口】
理不尽であることが
それが大人のピンバッチ
どこからも見えるよう
胸につけておきなさい
未熟な私の
鋭角をそいで
バラけた私を
水で薄めた
イタい イタい...排水口
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【Hunter】
空が着飾った星屑たちは
くるくる回って惑わせるだけ
東も西もわからないなら
いっそ道など捨ててしまおうか
人の森 動く体温
誰かが描いた地図の先に
ビルの波 失った色
答えがあるとは思えない
あんたを捕まえようと...Hunter
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【種】
膝をついては 俯いていた
あなたの側で 言葉がなくて
僕はひたすら あなたと共に
泥にまみれて 種を植えてた
いつか種が芽吹いたら
あなたにも見せよう
下を向いたその先に
希望を探せるように
慟哭の雨が積もったら...種
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【小さなコスモス】
人の森に隠れ
ひっそり生きてきた
誰か見つけてと
そっと呟きながら
「あなたはいい子だね」
いつだって誉められた
そうじゃないんだ
肯定はつまり否定
叩いてしまえばいい?...小さなコスモス
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【モノサシ戦争】
アンタガワルイ オマエガワルイ
言葉の石つぶて
オマエノタメダ アンタノタメヨ
正論のコーティング
きっとベクトルが
すれ違ったんだ
僕の引いた線は
斜め45度
僕の正義は君の悪...モノサシ戦争
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【ドレクライク】
水たまりを
君の肌が弾いた
拭える距離は
どれくらいだろう?
君の眉間は
シワを覚えたようだ
伸ばせる距離は
どれくらいだろう?
僕はたくさん考える...ドレクライク
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【涙色ダイヤモンド】
坂道は簡単に
僕を転がした
小さな石一つ
それだけでよかった
この部屋の壁紙に
脂(ヤニ)が染みている
小さな懐疑心
それだけで染みていく
不甲斐なさを忌むあまり...涙色ダイヤモンド
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【人形】
黄色いリュック
いつもそこから覗いた
広い青空と
あなたの好きな遊具
頭の中で
未だ響いて残る
はしゃぐあなたの
声音と走る足音
やがてあなたは人目を...人形
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【しあわせのかたち】
意味などはない ダブルクリック
0.2秒の 検索結果
どれを選べば パズルははまるの?
わからないの ばってんクローズ
見たこともない 会ったこともない
創造上の 救世主達
どれに願えば かなえてくれるの?
八百万の 世界の主
腐り落ちた果実に...しあわせのかたち
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【星のなく夜】
流れ込んできた
少し甘やかな空気
このまま緩やかに
溶けていけたらいいのに
疲れたような
重いあなたの吐息
砂粒くらいでも
吸い込めたらいいのに
水平線へ...星のなく夜
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【敬虔な愛】
寒い寒いと欲張った
部屋中 人いきれ
押し込められた箱からの
「生きるにおい」を嗅いだ
「戸を閉めろ」と叫ぶ声
背で聞いてわたしはゆく
つま先の先 ぎこちない
ここには霜が降る
優しいだけならば...敬虔な愛
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【№】
あなたは一体誰ですか
皮を剥いだらわかりますか
あなたは一体誰ですか
証拠はどこにあるのですか
名もない街は嫌ですか
帰巣本能生まれますか
名もない街の隅っこで
叫んでみたらいかがですか
数億年の営み...No.
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【球体関節】
シラバスをあなたは
与えてはくれなかった
私の踵は
深くそぎ取られた
冷たい雨は汚れを
落としきるほど強くはない
泥も何も飲み干すから
見捨てないで 捨てないで
愛を望むほど 関節は...球体関節
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【ミナゾコ】
不恰好な仕草で
遊んだつもりでいる
息苦しい呼吸で
なんとか凌いでいる
はじける泡のすべてを
確率なのだと言えたら
目の前で泣く誰かに
思いは寄せないだろう
光さえ届くことのない...ミナゾコ
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【時計】
この足が行ける場所は
どこまでも限られて
いくつ夢を重ねれば
白い鳥になれる?
どうしてがらんどうの
宝箱の中に
ちっぽけな小石ばかり
詰めて閉じたの
回れ時計の針...時計
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【鴉(からす)】
黎明に染まる
空まで突き抜けた
少し冷たい空気
あなたが見え始める
僕たちが捨てた
意味などなさない
日々の亡骸ばかり
あなたは手に取った
底に隠した...鴉
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【トジコメディア】
ごめんなさいが言えないの
ナンデナンデイエナイノ?
自分にも言い分があるの
ナンデナンデイワナイノ?
閉じ込めっ子にはもう慣れた
閉じ込められっこももうなった
何閉じ込めて見て見ぬふりで
ドウシテドウシテドウシテ
喜び悲しみ 光の向こう...トジコメディア
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【夢】
少しだけ色のついた
曖昧な場所に
私は佇んでた
泡沫のように
絡み合うことのない
指先は冷たくなった
目を開けるほどに
あなたは脆くなる
モノクロの私から...夢
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【アンチ・ハッピーエンド】
止まない鼓動と
静かな君の視線
カチリとチャイムの音
言葉を吸い取った
きつくはめ込んだ
イヤホンの中に
落ちる笑い声
歌よりも響いた
風がするりぬけた...アンチ・ハッピーエンド
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【真砂】
泡沫をまとってもなお
澄みきったアクア・ブルー
水平線に「おはよう」
私を縫い止めた
出会えた頃には
確かに掴んでいた
あなたへの「好き」が
真砂に変わってく
さざ波の下に落とした...真砂
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【A】
心を捨てた 巨人たちが
私のことを射殺すから
積み木を積んで 城を建てて
ぐらついてる足元を見た
一方的に体中を
ワイン色に染められてく
耳を塞いで目を閉じて
無呼吸の中 抗ってた
【B】...イモムシロジック
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【荊の中で眠る少女】
安らげる場所は
ここにしかないと
目を閉じて何も
見ないふりをした
寝返りをうつと
棘が肌を裂く
こぼれ落ちる赤
そよぐ長い髪
まどろんでしまえば...荊の中で眠る少女
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【詩(うた)のない曲(うた)】
たくさんの想いを
曖昧に詰めた箱
その蓋を開くと
どこか飛んでしまいそう
ああ ああ ああ
哀しみが喉から漏れる
見つめるだけ
それでいい なんて嘘だわ
使えば使うほど...詩のない曲
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【小さな巨人 】
木漏れ日の下を
自転車で駆け抜けてた
上り坂ですら
いとおしく思えた
君は待っていた
ゆるい僕の足取りでも
絶えず振り向いて
確かめてくれてた
君をからめとった...小さな巨人
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【カタアシトビ】
ブランコ 僕はよく乗った
高く漕いでは手を解く
僕は恐怖に目を開いた
それと同時に舌を垂らした
気づいたそれは万華鏡
色も形も違うのに
二度と戻らぬその形を
求めてくるくる
マ ワ ス...カタアシトビ
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【私のさよならを奪って】
光は無残に
私を照らしていた
闇は見えない
ただ空を切り裂いた
なんて陽気な
一日なんでしょうね
明日も晴れると
誰かがつぶやいた
腫れ上がる傷に怯えるなら...私のさよならを奪って
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【ドールハウス・ガール】
銀色の粒が
空から落ちてきた
ドメスティックな毎日から
足を踏み出そうと思ったのに
日だまりを誘って
あなたがやってきた
プラスチックな恋なんかじゃ
心躍るはずはないじゃない
いつの間にか...ドールハウス・ガール
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