タグ「本音デル」のついた投稿作品一覧(64)
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水面空軍基地。
何とも清潔な施設内だ。
皆と一緒にヘリポートから施設内に足を踏み入れた瞬間、そう思えた。
床は丁寧に磨かれ、清潔感のある白い壁はそれ自体に発光する装置が組み込まれているらしく、柔らかく目に優しい光を放っている。
俺が今まで過ごしてきた陸軍の研究施設は不潔ではなかったものの、...SUCCESSORs OF JIHAD 第四十話「現状報告」
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アクリルのキャノピーから見下ろす景色は何時からか、黄色から朱に、緑から青に変わっていた。
午後から夕刻となり、樹林を抜け海へとたどり着いた。
俺は方角を見失わぬよう、レーダーのナビゲーションを注視しながら、今尚ブラックホークの操縦桿を握っている。
レーダーの液晶画面に記されたラインの先には、...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十九話「夕日の水面基地」
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目前に迫る絶望を打ち破るため、俺は親指のスイッチを押し込んだ。
その瞬間凄まじい振動が俺の腕を体後と揺るがし、前方で眩いマズルフラッシュが巻き起こった。
ミニガンから打ち出された弾丸がレーザーのように光線を連ね、ガンシップに吸い込まれていく。
俺はひたすらスイッチを押し続け、次の瞬間、光線...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十八話「一日の終わり」
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一瞬にして、鋼鉄の絶望が群れを成し、蒼天の空を覆い隠した。
俺達は、タイト達が乗るブラックホークごと完全に包囲されたのだ。
この絶望は、一体どこから?
「これで逃げられはせん。ゆっくりと話をしよう。」
奇妙なヘルメット越しでも、目の前に立つ男の余裕の表情が見て取れる。
「あなたが・・・・...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十七話「戦い」
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ミクが驚異的な力で群がる敵性アンドロイドを全て破壊しつくしたことを確認した博士が、ヘリを大きく揺るがせた。
「うお!」
シートなどに腰掛けていない俺はその衝撃で簡単にヘリの内部を転がる。
俺はどうにか座席に腰を下ろすと、ヘリの中を見回した。
ワラともう一人の部下、そして傷ついたタイトに寄り...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十六話「再び会えて」
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乾いた衝撃音が、ヘリポートから雲ひとつない蒼天の空へと響き渡った。
鉛の9ミリ拳銃弾が真空を切り裂き、音速で着きついた先で火花を散らした。
そうして一体のアンドロイドが、弱点である頭部センサーを撃ち抜かれコンクリートへ沈んだ。
それが、激戦の火蓋を落とした。
「ヴォォオオウゥ!!!」
残...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十五話「雷神降臨」
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その眼光は、たとえ片目であろうと鋭利な刃物の如く鋭く俺を突き刺し、引き金に掛かった人差し指さえも動くことは叶わない。
俺はただ、目の前にいるアンドロイドがどのような行動に出るかを待つしかない。
だが、おおよその見当はついている。
彼の紫の瞳が示すものは、俺に対する憤怒。
彼が胸に抱く赤髪の...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十四話「諍いと和解」
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いたい・・・・・・いたいよ・・・・・・
くるしいよ・・・・・・
だれか・・・・・・たすけて・・・・・・
あのおとが・・・・・・きこえるの・・・・・・
...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十三話「Cry Crysis」
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短くなり、ただの灰となった煙草の吸殻を携帯灰皿に入れ、俺は再び林を中を歩いた。
見上げれば目標地点である通信連は目の前。俺とシックス達がたった二人の人質をつれて脱出するリカバリーポイントだ。
あのヘリポートにたどり着けば、すぐさまシックスの操作するブラックホークが駆けつけ、俺を迎えに来てくれる...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十二話「強襲」
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今一度深呼吸すると、すうと空気の流れる音が鼻孔内に染み渡り、澱みない新鮮な空気が俺の体内にある人口肺を巡り、次の瞬間にはふうと吐き出された。
ここの空気は今まで吸っていたものとは別物だ。
いくら俺が酸素を必要としないアンドロイドでも、発声には空気を必要とするし普通に呼吸することも出来る。
そ...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十一話「心境」
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水のせせらぎの音が、暗闇に覆いつくされた通路の向こう側より、微かに聞こえてくる。
いや、正確には音が頬に触れる感じで音の存在を確認できるのだろう。
その音が響き来る方向へと歩き始め、もう既に、五分ほど経っている。
それなのに、一向に音は強まる気配を見せない。
かといって、この暗闇の中を走...SUCCESSORs OF JIHAD 第三十話「暗闇から」
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「少佐。所長と接触した。だがこいつも死んだぞ!!」
『うーむ、一体どういうことなんだか・・・・・・。』
「何故だ・・・・・・どうしてなんだ!!!」
俺には、この現象が理解できない。
だが、無線越しにいくら少佐に訴えても、目の前で息絶え、今や亡骸となって俺の足元に転がっている所長、春日了司の...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十九話「下水道」
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先ずは電源を入れ、モニターを確認し、安全装置をロックからオフに切り替える・・・・・・。
バッテリーの容量とミサイル弾頭に異常がないかを確認し、モニターを覗き込む。
これでいい。後はトリガーを引けばニキータがダクトに向けて発射されるはずだ。
発射後はモニターに表示されるミサイルカメラの映像を頼...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十八話「遺言」
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再びあの鉄の箱に揺られ早一分。
この技術研究連の最深部である地下二階に到達したことをエレベーターのベルが知らせた。
慎重にエレベーターから顔を出す。
そこは幅広い空間で、突き当りには大きな食堂が見られる。
レーダーを見るとここに勤務する者の居住区らしく幾つもの小部屋が並んでいる。
外見的...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十七話「通告」
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液晶画面には、移動している光点が見られる。
それ以外には見当たらない。
レーダーを縮小してみても、このフロアは既に無人と化していた。
先のFA-1か、ワラ達の仕業かもしれない。
ともかくこれで人質の救出が大幅に楽になった。
あとはレーダー上に表示された光点を追いかけるだけだ。
だが、...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十六話「人質」
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思えば今まで予想外のことが起こりすぎた。
施設に侵入するなり倉庫連が爆破され、倉庫連から技術研究連に逃げ込んだと思えば正体不明の味方、シックスに遭遇し、成り行きのまま敵部隊と死闘を繰り広げた。
ようやく地下一階にたどり着き、人質が捕らわれている電子演算室に向かおうとすれば失神した兵士達が累々と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十五話「予想と暗示」
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ふと振り向くと、小部屋の扉が開け放たれ、そこには黒い人影が立っていた。
「動かないでよ!」
その人影は、まだ幼い少女の声で言った。
構わず俺は銃のライトで人影を照らすと、その人影が幾つかの光を反射した。
そこには前にも見た黒い戦闘服を着た何者かが、俺にアサルトライフルの銃口を突きつけている...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十四話「意志を持って」
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確か人質が捕らわれている場所は目の前のはずなのだが・・・・・・。
俺は今確かに人質がいる部屋、大型雑庫の前に来ている。
レーダーを見ても内部に人影がいることは明らかだ。
しかし、この部屋には部屋として機能するための決定的な部分が存在しない。
扉が無い。
いや、扉があったと思われる場所は白...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十三話「目的」
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「何だお前は?!」
俺は目の前の人物に言った。
目の前には、黒い戦闘服を纏った人影が背を向けているのだ。
その背には対戦車ミサイルと思われる兵装を背負っている。
感情に身を任せ、赤き電撃を纏う黒い彼女と俺の間に、それは立ちはだかった。
一瞬シックスかと思ったが、明らかに背が小さい。
1...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十二話「あの人」
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全身に漆黒を纏う彼女の手には、その髪色と同じく、黒き輝きを放つコンバットナイフが握られている。
そして、その矛先は俺の髪色と同じ白銀の銃口に向けられている。
彼女は、俺を確実に敵と捉えている。
先の発言で、全てが決まったのだ。
「まて・・・・・・どういうつもりだ。俺を殺すつもりか。」
と...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十一話「Fight for you」
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正直、まともに歩くことさえままならない。
先の銃撃戦で大暴れした結果と言うか、人質達が囚われている証拠と言うか、いくらなんでも敵の数が多すぎる。
通路を通ろうとすれば防弾シールドとボディアーマーで完全武装した兵士が歩き回り、ただ隠れていても巡回する敵から逃げ回らなければならない。
レーダーを...SUCCESSORs OF JIHAD 第二十話「黒き刃」
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低く機械音を響かせながら、鉄の箱、エレベーターが下降する感触を俺は直に感じている。
微かな振動が足元から頭の先まで伝わっていくのが分かる。
だが、それ以外は何も感じない殺風景な鉄の箱だ。
俺はいいまでに起こったこと、そして作戦目標の確認のために、少佐の下へ無線を入れた。
「少佐。今技術研究...SUCCESSORs OF JIHAD 第十九話「疑心」
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乾いた衝撃音が空気中を伝い、頬に触れる。
衝撃音の発信源は鋭利に研ぎ澄まされた鉛の塊。
それが空間を、音の壁を突き破り衝撃波を撒き散らしながら鼻先を掠めていく。
刹那的な時間、1秒にも0.1秒にも満たない、本物の刹那。その瞬間が俺の眼に像として映し出されていく。
眼前の弾丸が、弾丸が・・・...SUCCESSORs OF JIHAD 第十八話「侵入者」
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少佐からの無線だ・・・・・・。
少々タイミングが悪い気もするが。
俺は背後で男を待たせたまま少佐との無線を繋いだ。
少佐とヤミの声が、俺を出迎えた。
『倉庫練が爆発しただと?』
『少佐。こちらでも衛星で確認できたよ。見事に吹っ飛んでる。』
「原因は分からないが、技術研究練手前に差し掛か...SUCCESSORs OF JIHAD 第十七話「アラートフェイズ」
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扉の先の通路では無数の銃口が俺と特殊部隊の男に照準を定めていた。
それを目の当たりにした瞬間、一切の思考が空白で塗りつぶされていた。
「敵だ!撃て!!」
次の瞬間、乾いた発砲音と共に数十発の弾丸が俺の鼻から数センチの空間を突き抜けていった。
俺と男は反射的に扉から身を引き、敵の掃射を回避し...SUCCESSORs OF JIHAD 第十六話「奇妙な会話」
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火の手から逃げついた先は、殺風景な鉄の小部屋だった。
内部に続くと思われる巨大な自動扉がある。
そして目の前に立つ、黒尽くめの男。
謎の爆発によって襲い掛かってきた火の手から俺を助けてくれたのはいいのだが、なぜかこの男のことが不審に思えてならない。
漆黒の戦闘服にタクティカルベストを纏い、...SUCCESSORs OF JIHAD 第十五話「遭遇」
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ここは倉庫エリアと言うだけあってかなり広い場所だ。
体育館のような巨大な倉庫に、様々な物資が置かれている。
この倉庫の一つ上の階には、更に物資を詰める小部屋が並んでいる。
俺はコンテナの一つに身を隠し、周囲の状況をうかがった。
敵がいる。
倉庫を見下ろす場所にある通路に、数名。
さらに...SUCCESSORs OF JIHAD 第十四話「爆発」
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扉を抜けた先には、蛍光灯で照らされた鉄の通路がある。
数メートル手前でT字に分かれており、どちらへ向かえばいいかは分からない。
それ以前に、俺の頭の中には先程施設内部に侵入するときに聞こえた航空機のエンジン音、そして、その直後に聞こえた爆発音らしき音が気にかかっている。
あれは一体なんだった...SUCCESSORs OF JIHAD 第十三話「バックアップ」
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ここはどこだろうか。
見渡す限りでは、建物の屋上と見えても不思議ではない。
手すりの向こう側には、俺が泳いできた湖と、外界と絶縁しているかのように針葉樹林が聳え立っている。
この屋上には先程通過した潜水艇のドックの部屋にあったもの同じコンテナが数個、隅に寄せられている。
背後では、俺をここ...SUCCESSORs OF JIHAD 第十二話「状況」
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