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「ねえ……このペンダントトップ、もしかして、靴の形をしていなかった?」
巡音さんが遠慮がちに割り込んだ。靴? どうだったかな……。
「壊れる前のは見てないから、わからない」
俺の答えを聞いた巡音さんは、黙ってしまった。
「リン、思い当たるところがあるんなら言ってやれよ」
「う、うん……あのね、こ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十五【君に捧げるガラスの靴】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
クオ視点で、本編七十八話【クオの想い】アナザー七十話【ミクの願い】より、数ヵ月後のクオとミクを書いたものです。
よって、本編とアナザーをそこまで読んでから、読むことを推奨します。
【君に捧げるガラスの靴】
レンと巡音さんがアメリカ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十五【君に捧げるガラスの靴】前編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
アカイ視点で、外伝三十二【そして終わりの幕を引こう】の後の話となっています。
したがって、それまでの話を読んでから、お読みください。
【あの子の真実】
駅での偶然の邂逅の後、弱音とはそれなりに仲良くできている。少なくとも、俺がマイ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十四【あの子の真実】
目白皐月
「もしもし、さっきの……」
言いかけたところで、また電話を切られてしまった。もう一度リダイヤルボタンを押す。こうなったら意地だ。出たのは、やはり同じ女性だった。
「しつこいわね! この泥棒猫の身内が!」
大声で怒鳴られ、俺はまた唖然とすることになった。この人は、一体何なんだ?
「何なんですか、い...ロミオとシンデレラ 外伝その三十三【誰が為の嘘】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝三十二【そして終わりの幕を引こう】のガクトを書いたものです。
よって、外伝三十二までの、巡音家関連の外伝全てに目を通してから、読むことを推奨します。
【誰が為の嘘】
待ち合わせに向こうが指定してきた、都内の洒落たバー。俺はそこ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十三【誰が為の嘘】前編
目白皐月
この事件があった後、リンは部屋に閉じこもるようになってしまった。部屋といっても、今までの部屋ではない。襲われた時の恐怖から、リンは自分の部屋で過ごせなくなってしまったのだ。私はリンに向かいの部屋に移るように言い、私物も全部移させた。それから業者さんを呼んで、内鍵もつけてもらった。二度とこんなことが...
ロミオとシンデレラ 外伝その三十二【そして終わりの幕を引こう】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの継母、カエさんの視点で、本編第七十七話【水晶の心が砕ける時】、及び外伝三十【一歩踏み出す時】のサイドエピソードとなります。
従って、それまでの話を読んでから、お読みください。
【そして終わりの幕を引こう】
高校生の時、リンは...ロミオとシンデレラ 外伝その三十二【そして終わりの幕を引こう】前編
目白皐月
リンちゃんの様子がおかしくなったのは、大学二年の終わり頃だった。「体調を崩したからしばらく休む」とのメールが届いて、それきり。わたしはお見舞いに行くとメールしたのだけれど、リンちゃんから「ごめんなさい、今、人に会える状態じゃないの」と断られてしまった。
何が起きたの? また閉じ込められてるとか?...アナザー:ロミオとシンデレラ 第七十話【ミクの願い】
目白皐月
大学二年の春休み。レンから、突然連絡が来た。いや、連絡自体はもともと取っている。連絡というか、いきなり電話がかかってきたんだ。しかも、今日本にいるという。
「お前、いつ日本に戻ってきたんだ?」
「……二、三日前」
電話の向こうで、レンが答える。何があったんだ。巡音さんを迎えに来れるようになるまで...ロミオとシンデレラ 第七十八話【クオの想い】
目白皐月
「うわ……俺だったら撃てねえ」
ああ、クオは射撃、やってるもんね。クオが進学を決めた大学は射撃部があるので、大学に入ったら部活はそれにするって言っている。もっとも、まだ動かない的しか撃ったことがないから、あの状況じゃ撃てないだろう。
トラヴィスが銃を撃つと、二匹は倒れた。まさか……と思ったけど、...ロミオとシンデレラ 外伝その三十一【愛すべきわめき屋へ】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ミク視点で、ミクとクオが大学に入る直前の話です。
それが頭に入っていれば、読めると思います。
【愛すべきわめき屋へ】
高校を卒業した、春休みのある日。特に予定も入っていなかったので、わたしは自宅でのんびりと過ごしていた。クオも今日...ロミオとシンデレラ 外伝その三十一【愛すべきわめき屋へ】前編
目白皐月
その日の夜。夕飯が終わった後も、あたしは食堂に残っていた。リンが殴られてから、引きこもるのはやめたのだ。だから、食事はリンやカエさんと一緒に、食堂でとっている。お父さんがいない時限定だけど。
「ハク、どうかしたの?」
リンはもう自分の部屋に引き上げてしまったので、食堂にいるのはあたしとカエさんだ...ロミオとシンデレラ 外伝その三十【一歩踏み出す時】後編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
リンの姉、ハクの視点で、本編七十六話【泣かせてください】と七十七話【水晶の心が砕ける時】の間の時期までの話となります。
よって、本編をそこまでと、外伝二十九話【その心の中に】までのハク関連の外伝を読んでから、読むことを推奨します。
...ロミオとシンデレラ 外伝その三十【一歩踏み出す時】前編
目白皐月
もうリンをあっちに置いておけない。そう考えた俺は、姉貴にそう伝え、リンには、「心配している」という内容の手紙を書いて送った。ことは簡単に運ばないのはわかっていたが、何もせずにはいられなかったんだ。けど、リンからの返事は来なかった。手紙を書くこともできないほど、辛いらしい。
じりじりするうちに時間...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十九話【最悪の日々は終わりを告げて】
目白皐月
わたしはどうして、生きているんだろう。
たまに、そう思ってしまう時がある。そういう風に考えるのはよくないのだろうけど、自分が生きているのが不思議に思えることがあるのだ。
部屋に閉じこもって、ミミを膝に抱いて撫でながら、ぼんやりとする。ソウイチさんに殴られてからというもの、わたしはそんな風にして...ロミオとシンデレラ 第七十七話【水晶の心が砕ける時】
目白皐月
それから、どれだけが経過しただろうか。食事が終わった後も飲むのをやめる気になれず、俺たちは居酒屋に移動して飲み始めた。結果として……。
「あたしはどうしようもないダメ人間なんです……」
弱音はグラスを傾けながらぼろぼろ泣いていた。酔っ払うと涙もろくなるタイプらしい。
「だ~か~ら~、決めつけるな...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】後編
目白皐月
弱音が乗り換えに使っているという大きめの駅まで一緒に行って――マイコ姉の最寄り駅の近辺、ろくな店がないんだ――手ごろなイタリアンの店に入る。ピザとパスタ、もう夜だしということでワインも頼んだ。
「弱音は飲めるの?」
「ええ、まあ。マイコ先生につきあって、飲みに行ったことありますし」
マイコ姉はか...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】中編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
カイトの従兄、アカイの視点で、外伝二十八【荒療治】の続きになります。
従って、それまでの話を読んでから、読むことを推奨します。
【その心の中に】
「で、相変わらずミス・ガーディアンは揺るがないわけ?」
俺は手にした携帯に向かってそ...ロミオとシンデレラ 外伝その二十九【その心の中に】前編
目白皐月
両親と喧嘩でもしたんだろうか。実を言うと、僕にも憶えがある。ユキぐらいの年齢の頃、両親と大喧嘩をして家を飛び出した。やっぱりユキみたいに公園で、一人でブランコに座って「もう二度と家には帰らないんだ」なんて、悲痛な決意を固めていたっけ。……もっとも僕は根性が無かったので、空腹になったら帰ってしまった...
ロミオとシンデレラ 外伝その二十八【やまない泣き声】後編
目白皐月
それからというもの、ユキは度々僕の家に遊びに来るようになった。遊びに来るというか、最初のうちは母さんが連れて来ちゃってたんだけど。「一人でぽつんとしてたから~」とか言って。問題じゃないかと思ったけど、言って止まる人ではないので、僕は黙っていた。
そのうちに、ユキは自発的に来るようになったけど、母...ロミオとシンデレラ 外伝その二十八【やまない泣き声】中編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
外伝その二十三【メイコの思案】に登場した、キヨテルの過去エピソードです。
なお、このエピソードは本編からは完全に独立していますので、単独で読めると思います。
重めの話となっていますので、そういうのが苦手な方は読まないことをお薦めしま...ロミオとシンデレラ 外伝その二十八【やまない泣き声】前編
目白皐月
私を異界の悲劇のプリンセスにしないで
ここから連れ出して…… そんな気分よ
妹におやすみなさい せいぜいいい夢を見なさい
「勝利よ あなたのじゃないけど」
むせかえる魅惑のカラメル 背徳の麻薬を絡める
今夜はどこまで行けるの?
噛みつかないわ 優しくする 苦いものはまだ嫌いなら
私の作るお菓子ばかり...【ロミシン替え歌】サタンとヘラクレス【ナルニア白い魔女風味】
上尾つぐみ
大学で何を勉強するのかはかなり悩んだけど、ここニューヨークは舞台の本場だけあって、演劇に関しては教える方も一流だったりする。舞台への強い興味を捨てきれず、俺は演劇を専攻することにした。つぶしがきかないわよ、と、母さんには散々言われたりもした。でも、やりたいことに思い切りぶつかるのもいいかもね、と、...
アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十八話【君がくれた手紙】
目白皐月
ひどい目にあった次の日、わたしは、お父さんの罵声で目を覚ました。
「リン! お前、どこへ隠れた!?」
わたしは、文字通り飛び起きた。隣では、やっぱりこの声で起こされてしまったらしいハク姉さんが、驚いて目を見開いている。
「出て来い! この、ろくでなしめ!」
思わずベッドから出ようとしたわたしを...ロミオとシンデレラ 第七十六話【泣かせてください】
目白皐月
「あたしの人生は何だったんですか。あたしの時間は何だったんですか」
ホテルの部屋に戻ってからも、ハクちゃんはずっと泣いていた。……こうなることはわかっていたけど、やっぱりしんどい。いや、わかっていたっていっても、予測したパターンのうちの一つってことで、その中では比較的対処のしやすい結果になったんだ...ロミオとシンデレラ 外伝その二十七【荒療治】後編
目白皐月
「今日は営業は無理そうね」
ショウコさんはそう言って、店の入り口に「臨時休業」という紙を貼りに行ってしまった。ハクちゃんが、マイコ先生の方を見る。
「マイコ先生、ママがここにいるって知ってたんですか?」
「……まあね。ハクちゃんのお母さん、元モデルでしょ? 業界の知り合いに片っ端から声かけて見たの...ロミオとシンデレラ 外伝その二十七【荒療治】中編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
メイコの視点で、本編では第七十二話【滅びにいたる門は大きく】より、一ヶ月ぐらい前の時間軸となっています。
なお、この話はメイコとハクが中心となるため、そこまでの本編を読了し、外伝二十四【母の立場】までの二人の登場する外伝を読んでから、...ロミオとシンデレラ 外伝その二十七【荒療治】前編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
ルカの視点で、本編四十六話【イン・コールド・ブラッド】のサイドエピソードになります。
よって、本編をそこまで読んでから、読むことを推奨します。
【悪いのはあなた】
神威さんの家族との食事会があった次の日、私は買い物に出かけることに...ロミオとシンデレラ 外伝その二十六【悪いのはあなた】
目白皐月
ずいぶんと時間が経過したように思えたけど、実際はそうでもなかったんだろう。とにかく警察がやってきて、ソウイチさんは連行された。もう大丈夫と言われたので、わたしとハク姉さんも部屋の外に出る。わたしの姿を見たお母さんは、蒼白になって駆け寄ってきた。
「リン!」
わたし、きっと、ひどい姿なんだろう。鏡...ロミオとシンデレラ 第七十五話【生と死の狭間で】後編
目白皐月
その日の夕食、わたしが一階に降りて行くと、ソウイチさんとやらはまだ居た。……帰ったと思ったのに。どうしてまだいるんだろう。
わたしは不快な気分で、食卓についた。お客さんがいるからか、食事の内容が普段より凝っているし、食器も上等なものだ。……きっと、お父さんがそうしろって言ったんだろうな。そうまで...ロミオとシンデレラ 第七十五話【生と死の狭間で】前編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
カイト視点で、外伝その二十四【母の立場】の直後の話となります。
したがって、それまでの話を読んでから、お読み下さい。
【それぞれの形】
なんであんなこと、言っちゃったんだろう。
めーちゃんからの電話を強引に終わらせた後、僕はひた...ロミオとシンデレラ 外伝その二十五【それぞれの形】
目白皐月
お父さんがわたしに縁談を持ち込んで来てから数日、お父さんはわたしに何も言って来なかった。もっとも、何も言って来なかった、というより、ほとんど顔をあわせなかった、の方が正しいのかもしれない。例によって帰宅が遅いし……。わたしの方も、家にいても仕方がないので、一限から講義がない日でも、その時間には学校...
ロミオとシンデレラ 第七十四話【目は独りでに物を見る】
目白皐月
「巡音さん、大変よくできていますよ」
大学の先生はそう言って、わたしが渡した原稿を置いた。
「ありがとうございます」
「じゃあ、これ、次の分ね」
どさっとプリントが渡される。わたしはそれを、自分の鞄に仕舞った。
「できたら来新学期が始まるまでには仕上げてもらえる?」
わたしはかかる時間を計算し...ロミオとシンデレラ 第七十三話【わたしの望みは大きすぎるの?】
目白皐月
わたしが大学に入学した年の六月、ルカ姉さんはガクトさんと結婚した。こっちの家に入る形になるので、ガクトさんの方が巡音の姓を名乗ることになる。
こういう家だから仕方がないけれど、大きな式場で、かなり派手な式になった。そしてお母さんに訊いてみたのだけれど、ルカ姉さんは結局、式に対して自分の希望は全く...ロミオとシンデレラ 第七十二話【滅びにいたる門は大きく】
目白皐月
ニューヨークでの新生活は、想像していたのより大変だった。幸いなのは、新学期が九月からとのことで、それまではちょっとだけ、こっちに慣れる余裕があったということ。もっとも、それでもやることは山積みだったが。
転入試験も無事合格し、九月からはこっちでの高校生活が始まった。日本とこっちでは学校のシステム...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十七話【どこにいても君の姿が】
目白皐月
次の週から、わたしは学校に戻った。当然、レン君は登校して来なくて、わたしは淋しさを感じずにはいられなかった。いつもなら、わたしが登校してしばらくすると、レン君が登校してきて「おはよう」って声をかけてくれるの。
「リンちゃん、大丈夫?」
必死で我慢しているわたしに声をかけてくれたのは、やっぱりミク...ロミオとシンデレラ 第七十一話【別れて会えないのは辛いこと】
目白皐月
レンは無事にリンちゃんに指輪を渡して、戻ってきた。……指輪以外にも色々あったみたいね。本人は語りたがらなかったけど、表情を見ていると察しがつく。ああやれやれ、私、なんでここまで気を回してるのかしら。
金曜にカイト君を呼んで食事をする旨を伝えると、母さんはかなり驚いていた。でも、反対はされなかった...ロミオとシンデレラ 外伝その二十四【母の立場】後編
目白皐月
母さんと私はそれから何度も打ち合わせをして、その上でレンに話をした。当然激しい反発が返ってきたけど、最終的にはなんとか、レンにこの話を納得させることができた。
ただレンの方も条件を出してきた。それは、リンちゃんに直接、この話をすること。でなければニューヨークへは行かないというのだ。私は困って、ハ...ロミオとシンデレラ 外伝その二十四【母の立場】中編
目白皐月
注意書き
これは、拙作『ロミオとシンデレラ』の外伝です。
メイコの視点で、『アナザー:ロミオとシンデレラ』第六十三話【真実が充分ではない時がある】~第六十六話【分かれた道】のサイドエピソードとなっており、また、外伝二十三【メイコの思案】の直後の話となっています。
したがって、【分かれた道】、...ロミオとシンデレラ 外伝その二十四【母の立場】前編
目白皐月
ずっとリンと抱き合っていたかったけれど、そういうわけにも行かない。明るくなったら、誰かに見つかりやすくなってしまう。だから、俺は暗いうちにリンの家を出ることにした。
脱いだ服を身に着ける俺を、リンは泣きそうな表情で眺めていた。そんな顔しないでくれ。
「リン、俺はもう行くよ」
引き伸ばすと、余計...アナザー:ロミオとシンデレラ 第六十六話【分かれた道】
目白皐月